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生活
2018年11月22日

本領発揮は50代から! vol.1

本領発揮は50代から! vol.12018.11.2250代の歩き方

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50代ビジネスパーソンの読者の皆さん、初めまして。エグゼクティブ・コーチの佐々木繁範です。これから10回にわたって、皆さんに「50代のキャリア」についてのコラムをお届けすることになりました。連載初回の今回は、私自身のキャリアと、このコラムを通じて皆さんにお伝えしたいこと、についてお話ししたいと思います。

〜「好き」「得意」で自分の人生を切り拓く〜

私は1963年生まれで、皆さんと同じ50代。現在、コーチ、コンサルタントとして、ビジネスパーソンの本領発揮をサポートしています。「好き」なことは、人や組織の潜在能力を開発し、活き活きと社会で活躍することを後押しすること。「得意」なことは、トップリーダーのスピーチやプレゼンテーションを支援すること。私は、この二つを専門領域として、独立して事業を営んでいます。本連載のテーマである、「『好き』『得意』で自分の人生を切り拓く」ビジネス・キャリアに、自ら挑戦しています。

私が独立したのは、45才の時でした。日本興業銀行、ソニーを経て、企業再建を担えるプロ経営者を目指して、敢えて厳しい局面に置かれた企業を選んで転職を繰り返しました。しかし、最後は、メンタルダウンで志を果たせず。トップの補佐役を務め、企業派遣でアメリカの大学院に留学し、30代後半で部長待遇を手にしていた右肩上がりのキャリアから、一気に急降下して、最後は奈落の底に突き落とされるという出来事を経験しました。

それは辛い経験でしたが、幸いなことに、「自分が本当にやりたいこと」について考える時間を持つことができました。それまでは、「世間的に凄い」と言われることに挑戦して「自分の力を試す」ことに価値を置いて生きてきましたが、「自分が何をやりたいのか」については、じっくり考えたことがありませんでした。

私はそれまでの人生を振り返る中で、中学時代の塾の先生、高校時代の担任の先生、大学時代の恩師、ソニー時代の上司に能力を開発してもらい、挑戦を後押ししてもらい、その経験が強い印象となって心に残っていることを思い出しました。そして、「自分もそんなふうに、人の潜在能力を引き出し、本領発揮をサポートすることがしたい」という思いに気づいたのでした。そうして私は、経営コンサルタントとして独立し、それまでに習得したノウハウや経験を活かして、志ある経営者の力になろうと思うようになったのです。これが、独立に至った経緯です。

最初は、中小企業に対して、マーケティングや商品開発などをアドバイスしていたのですが、ある時、ソニートップのスピーチ・ライターをしていた経験をもとに本を書いてみないかというオファーが出版社からあり、2012年に『思いが伝わる、心が動く スピーチの教科書』という本をダイヤモンド社から出版することになりました。これを機に、大企業トップを含む、経営者のスピーチコンサルティングや、リーダー層に対するプレゼン研修を行う仕事が増えていきました。

そのような中で活動を続けるうちに、ロジカルな課題解決だけでなく、クライアントのメンタルなバリアを取り除いたり、人間関係の悩みを解消したりできるような力を身につけたいと思い、アドラー心理学をベースにしたコーチングスキルを身につけ、仕事に活かすようになりました。

会社勤めの時代は、自分が独立して会社を経営するなんて思ってもみなかったし、まして本を出版するなんて、考えたこともありませんでした。しかし、覚悟を決めれば、いつの間にか夢は叶っていました。そして、自分の好きなこと、得意なことで、人に喜んでもらい、お金までいただける毎日に、大変な充実感を得ています。失意のどん底からの出発でしたが、思い切って決断して、本当に良かったと思っています。

読者の皆さんの殆どは、企業に勤める50代のビジネスパーソンだと思います。錚々たる企業で上級幹部を務める方も数多くいらっしゃると思います。そんな皆さんの中には、(1)「現状に満足している方」、「満足はしていないが、何とか気持ちの折り合いをつけることができている方」もいらっしゃれば、(2)「現状に強い不満と不安を抱いている方」もいらっしゃると思います。私がこのコラムでメッセージをお届けしたいのは、後者(2)の方々です。

きっと多くの方は、難しい選考試験を勝ち残って現在の会社に就職されたのではないかと思います。そして入社後は、同期よりも高く評価され、花形部署に異動して活躍し、最後は役員に昇進することを夢見て、全力で頑張ってこられたのではないでしょうか。

しかし現実は、不本意な部署への異動、望まない単身赴任、昇進の遅れ、そして役職定年や子会社への出向、そんな中で同期の役員就任…。そのような中で、「こんなはずじゃなかったのに…」、「自分の人生は、いったい何だったのか…」と、力を落としている方もいるかもしれません。

これまで、社命に従うことを最優先にするあまり、自分が本当にやりたいことを犠牲にしてきた方が、数多くいるのではないでしょうか? というより、「自分が何をやりたいのか?」について考える暇もなかったし、そもそも、「そんなことができるのか?」と疑問に思ってきた方もいるのではないかと思います。

50代になった今、自分らしい生き方に挑戦してみませんか? 皆さんが心から「好きなこと」、これだけは自信があるという「得意なこと」を活かして、誰かの役に立つ、そして心から喜んでもらう。そんな生き方ができたら、いかがでしょうか?

必ずしも独立だけが選択肢ではありません。転職、転籍、出向、あるいは、社内で新しい職務に挑戦することも選択肢として考えられます。大事なことは、「好き」「得意」を活かして、自らの意志で、自らのキャリアを切り拓いていくということです。

本領発揮は50代からです!

この月一回の連載が、読者の皆さんにとって、これからのより良い人生を考える上での刺激になればと願っています。私の経験談が、少し早いタイミングで独立を果たした同世代の人間の先行事例として、成功体験、失敗体験の双方において、何らかのヒントになればと願っています。また、私が述べる意見や情報については、「そうだ!」と思う場合でも、「いや違う!」と思う場合でも、皆さんが、ご自身の気持ちや考えをより明確にする上で役に立てば、何より嬉しく思います。


〈お願い〉
1.皆さんのご意見、ご感想、ご質問をお寄せください。次回以降の内容に、できる限り反映していきたいと思います。
ご意見、ご感想、ご質問はこちら

2.目下、お悩み中の読者の皆さんは、是非、アップル創業者スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式のスピーチをご覧ください。15分ほどのもので、YouTubeで検索するとすぐに見つかります。インスパイアされること、間違えなしです。

3.今回の私の話をもっと詳しく知りたい人は、拙著『なぜ、優れたリーダーは「失敗」を語るのか』(PHP研究所)をご覧ください。Amazonで見つかります。

それでは、次回、またお会いしましょう!

佐々木 繁範
株式会社ロジックアンドエモーション 代表取締役。経営コンサルタント/エグゼクティブ・コーチ。
1963年福岡県生まれ。同志社大学経済学部卒業後、1987年に日本興業銀行に入行。1990年にソニー株式会社に転職し、盛田昭夫会長の財界活動をサポート。その後、ハーバード・ケネディ・スクールへの留学を経て、出井伸之社長の戦略スタッフ兼スピーチ・ライターとして、ソニーの全社改革に取り組む。2002年にソニーを離れ、大小様々な規模、業種の企業にて、現場変革に取り組む中で、挫折経験を味わい、自己を見つめる機会を持つ。2009年に一念発起し、経営コンサルタントとして独立。現在で10年目、好きなこと、得意なことを仕事にすることの、この上ないやりがいと、事業運営の難しさの両方を経験しながら、日々、進化継続中。著書に『思いが伝わる、心が動く スピーチの教科書』(ダイヤモンド社)、『なぜ優れたリーダーは「失敗」を語るのか』(PHP研究所)、『ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則』(日経BP社)がある。
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