自走人生のススメ vol.27:
70歳定年は「単なる現状維持の延長線」か 体力、能力、意欲に不安も
-「70歳定年」に関する調査(下)- 2019.07.31定年後入門

定年後研究所が行った「『70歳定年』に関する調査」で、70歳定年・雇用延長を「歓迎する」と回答した割合が約4割(42.9%)にとどまるという意外な結果が出たことを、前回お伝えした。

「70歳定年」が実現した場合の65歳以降の働き方について聞いたところ、約半数の45.7%が「結局は70歳まで今の会社で働き続ける」と回答した。70歳定年・雇用延長“歓迎派”では、なんと69.5%が「今の会社で働き続ける」と考えており、「違う会社で働く」(18.6%)や「起業など組織に頼らず働く」(4.5%)を大きく上回っている。70歳定年は、会社員にとって「単なる現状維持の延長線」に過ぎないのだろうか。

また、70歳まで今の会社で働くことに対する不安について聞いたところ、「不安を感じることはない」という回答はわずか3.9%で、残りの96.1%は何らかの不安を持っていることが明らかになった。その不安要因は、「体力が続かないこと」(63.0%)、「50代のときと同じようなパフォーマンスが発揮できるかわからないこと」(46.9%)、「働く意欲が持てるかどうかわからないこと」(44.2%)などである。『体力、能力、意欲』のいずれをとっても“自信がない”ということになるのだが、「これで“シニア活躍”は大丈夫だろうか」と考えたくなる。

先月行われた「未来投資会議」では、「70歳までの就労機会の確保に向けた法改正を目指す」ということで、「高年齢者雇用安定法」の改正案の骨子が発表された。「65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じて、多様な選択肢を準備する必要がある」(首相官邸HPより)というのが論点のポイントのようだ。

具体的には、「従来の定年延長(あるいは廃止)や継続雇用制度の導入に加えて、他の企業への再就職や自営、起業、社会貢献活動への支援など幅広い選択肢を用意する」(首相官邸HP)ことが、今後企業に求められるという。

「自社で抱え続け、最後まで働いてもらう」という従来型の定年・雇用延長とは異なり、「人生100年時代を迎えて、元気で意欲ある高齢者の方々にその経験や知恵を社会で発揮していただく」(首相官邸HP)という意図で策定された改正案の「支援策」である。この解釈を誤ってしまうと「単なる現状維持の延長線」になりかねない。

企業としてどのように対峙するのか、シニア従業員はこの支援策の土俵にいかに乗っかっていくのか、労使で取り組む「令和時代の人事政策」の腕の見せ所である。

定年後研究所では、この「多様な選択肢」を実効性のあるものにする鍵は、50代からの準備をいかに促し支援するか、だと考えている。そのための具体策を企業とシニア従業員に提供していく準備を進めているところだ。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。