自走人生のススメ vol.23:
外部ネットワークを利用した“自走人生” -私が出会った「自走人」vol.2- 2019.07.10定年後入門

「私は自分のことを“シニア”だと思っていないんですよ。60代ってまだ“ミドル”でしょう」
こう語るのは、現在、人事コンサルタントとして活躍中の井川裕行さん(61)。井川さんによると世の中はもっと進んでいるのだそうだ。

「先日、2018年に合格した司法書士の新人研修に参加した時のことです。合格者の中で自分が一番年上の方だろうと思っていたら、同年代の方々もちらほらと見かけましたし、なんと80歳で合格した方もいらっしゃいました。私は、『健康に問題がなければ80歳までは現役で頑張ります』と皆さんの前で挨拶をしましたが、何か当たり前の話をしてしまったような気がしています。『さすが士業だな』と感じました」

なるほど、士業には「定年=終わり」がないので、始まりも決まっているわけではなく、比較的高齢になってもチャレンジがスタートできるということなのだろう。

井川さんは、大学卒業後、新卒で就職し、2013年までの33年間で4つの会社を経験した。主に人事・総務部門の責任者を担当されてきたという。

「最初の会社には20年位勤務していましたが、いろいろと冒険がしたくなって転職しました。グローバル会社を含めて、いろんな業界、いろんな会社の人事の仕事を経験することができました。『もう、あらゆる修羅場はくぐった』というレベルまでの経験を積めたので、人事コンサルタントとして独立に踏み切ったのです。」

井川さんは、現役時代に培ってきた経験やスキルを活かす“装置”として、大手人材派遣会社の「顧問ネットワーク」を利用している。ネットワークに登録しておくと、井川さんの経験やノウハウを活用したい企業とのマッチングをしてくれるというものだ。

「これまで手掛けたコンサルティング案件のうち半分ぐらいは、顧問ネットワークを通じたものです」。

退職後は、会社という「頼れる存在」が無くなり、自分でレールを敷きながら、自分の動力で走っていく「自走人生」が始まる。何から何まで自分一人で取り組まなければならないのだ。その際、「顧問ネットワーク」のような外部の「自走支援装置」を利用するのもひとつの手だ。

井川さんは「自走までの道のり」を次のように振り返る。
「私の場合は、会社からの支援ではなく、『自力でやるしかない』と思い、自分に合う仕事は何かを十分に考えて動きました。しかし、これからは、会社が“準備期間”をきちんと設定して、50代社員の意識付けをすることが必要だと思います」

人事コンサルタントとして「自走人生を実践している」井川さんは、令和時代の幕開けの今年、司法書士事務所を開設して、新たな事業展開にチャレンジするという。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。