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健康
2018年07月01日

定年後を創造的に生きるため!今からできる前頭前野の鍛え方

定年後を創造的に生きるため!今からできる前頭前野の鍛え方 2018.07.01創る


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~創造性を発揮できるようにするにはどうしたらいいのか~

「創る(創造する)」という言葉の響きは美しいものです。世の中が創造にあふれる社会であってほしいと、おそらく多くの人が望んでいるに違いないでしょう。しかし、現実の世の中を見渡すと、年をとって創造的な人がいる一方、人生の早い段階でその意欲を失っている人も、少なからずいます。ここではその「差」が生まれるメカニズムを考察しつつ、長きにわたって創造性を発揮できるようにするにはどうしたらいいのか、その方法を考えてみることにします。

創造は若者だけのものではありません

新しいものを生み出す力は、基本的には若者の方が高い。おそらくそれは間違いないでしょう。脳の可塑性が高いので、環境変化に柔軟に対応し、新しい解決策を生み出すことができる。また、知識や経験が少なく、縛られるものがないので、自由に考えることができる。若いがゆえに、しがらみがなく、また失敗してもやり直せる時間もあり、チャレンジしやすい。さまざまな利点があるのだから、ある意味、それは当然のことです。

しかし、だから「年をとったら創造はムリだ」ということでもありません。若くても創造性がない人がいるように、シニア世代になっても、創造的活動を旺盛に行う人がたくさんいます。

代表例を挙げれば、アメリカの国民的画家であるグランマ・モーゼス。楽しげな田園生活で有名なこの画家が、本格的に絵筆を握ったのは75歳の頃とされています。101歳で死ぬまで約1,600点の作品を残した彼女の画業のピークは80代以降でした。また、最近では、80歳を過ぎてプログラミング言語を覚え、独力でゲーム・アプリを開発した若宮正子さんのような人もいます。創造性は、年齢だけで片付けられるような、単純なものではないのです。

創造性と深く関与している「前頭前野」

では、どのような人が、創造性を長きにわたって発揮することができるのでしょうか。

創造性は知的特性の1つなので、「脳」が関与していることは自明です。いったい脳のどのような部位の、どのような状態にあるとき、それは実現されるのでしょう。

脳と創造性の関係は未知なことだらけですが、決定的に重要とされる脳部位があります。それが、前頭葉の中の「前頭前野」と呼ばれる部位。前頭前野は「脳の最高中枢」とされ、推論や意思決定のような、人間にしかできない高度な思考に関与しているとされています。また、意欲や好奇心のような高次な情動とも深く関係しており、「ヒトをヒトたらしめる脳部位」ともいわれます。その前頭前野が、創造性にも深く関与しているらしいのです。

鍛え続けることで成熟を続ける前頭前野

前頭前野に関しては、研究は端緒についたばかりで、なお未知なことだらけですが、明らかになった特性が1つあります。それは、前頭前野が「もっとも遅くまで成熟する」と同時に、「もっとも早く(早ければ40代から)機能低下が起こる」部位だということです。

脳は、鍛えることで機能向上する一方、使わないと機能低下することが知られています。このことを踏まえていえば、上記の特性は「前頭前野は、鍛え続ければ遅い年齢まで成熟を続け、使わなければ早い時期(40代)からでも機能低下していく」と読みかえることができます。学習という知的活動にも関わる脳部位だけに、「鍛える(使う)」によって影響を受ける時間幅が他の脳部位より長いのは、当然といえば当然かもしれません。

創造性を長く発揮できる人の条件

鍛えること(使うこと)は、創造性の座である前頭前野の機能向上や維持と深く関わることが分かりました。これによって、最初に掲げた「どのような人が、創造性を長きにわたって発揮することができるのか」というテーマに、それなりの解を見いだすことができたのではないでしょうか。

機能低下が始まる前の段階で、「鍛え続ける(使い続ける)努力をした人」、あるいは「そうせざるを得ない環境にあった人」が、その有資格者ということになります。先に述べた前頭前野の機能に即していえば、推論や意思決定のような高度な思考活動をたくさんした人、好奇心を大切にして意欲的に活動した人、創造的活動に熱心に取り組んだ人ということになります。

このことは逆に、40代までにそういう活動が少なかった人は、すでに機能低下が進行している可能性があることを示します。ルーティン作業だけをしてきた人、自分では何も判断せず、上司の指示に従うだけだった人、会議でアイデアを出す努力を怠った人、そういう人は、かなり危険な状態にあることになります(あくまで可能性ですが)。

創造性を持ち続けるために「50代にすべきこと」「60代以降ですべきこと」

あなたが50代で、40代の日常が、前頭前野の機能低下につながるようなものであったと自覚するなら、50代のリカバー努力は不可欠です。幸い、この時期はまだ現役の仕事人だと思うので、日々の仕事への向き合い方を変えれば、機能低下を防ぐことは十分に可能です。自発的に課題を見つけ、知恵を振り絞って解決への道筋を探し、その実現のために尽力する。その気にさえなれば、簡単なことです。

あなたが60代以降で、すでに仕事からリタイアしている場合、できることは、今ある環境の中で、自分でテーマを見つけて解決策を探し、その実現のために力を尽くすことです。簡単にいえば「日常を必死に生きる」ということ。

また「創造性」でいえば、さまざまな創作活動(絵画でも音楽でもエッセイ執筆でも何でもいい)にトライしてみるのもよいでしょう。創作活動は、人間以外には成しえない高度な知的活動であり、真剣に取り組めば、間違いなく前頭前野を刺激するはずです。

最悪なのは、いろいろ理屈をつけて、何もしないことです。やらない理屈は誰でも考えられるし、やらなくても生きてはいけます。しかし、それでは早期に創造性が失われることは、もはや避けがたいこととなってしまいます。言い換えれば「創造性を長きにわたって発揮する人」とは、「理屈を言わずに行動を起こす人」ということになるのかも知れません。

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