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健康
2018年11月12日

立ち姿はいつもきれいに。心身ともに美しくあり続ける。

立ち姿はいつもきれいに。心身ともに美しくあり続ける。 2018.11.12定年後入門


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日本の伝統芸能の一つ日本舞踊は、歌舞伎や狂言に比べ、習い事や趣味の一環として行う人が多くいるのが特徴です。今回は三千つね会の主催であり、70歳にして、心身共にいつまでも美しくあり続ける坂東三千経さんにインタビューをさせていただきました。

日本的な美しさを作るインナーマッスル

「日本舞踊では静止する瞬間が多くありますが、あまり動いていないように見えて、実はかなりの筋肉を使っているのです。踊った後はすごく汗をかきます。ゆっくりとした動きであっても、身体を止めるためには普段使わない筋肉を使うんです。坂東先生はすごい方です。」

三千つね会の会員の一人である川本さんは、坂東さんの稽古の様子を見ながらこのように話します。

20名ほどの会員を持つ三千つね会では、シニアでも年に7、8回の舞台があるといいます。坂東さんは一人でこの20名の会員を教えています。

「西洋のものは伸びる文化であるのに対して、和のものは沈むことが多いので、膝と腸腰筋をすごく使います。」
日本舞踊で必須なものが着物です。その立ち姿を美しくするのに欠かせないのがインナーマッスルだといいます。

日本人が一度は憧れる着物ですが、坂東さんの着物姿とそのオーラには目を奪われます。日本的な美しさや上品さ、奥ゆかしさが感じられるその凛とした立ち姿は、とても70歳とは思えないのです。坂東さんが70歳を過ぎても美しさを保ち続けているのは、毎日のように稽古でこのインナーマッスルを鍛えているからなのかもしれません。

何でもない日常でも美しく

日本舞踊をしていて一番嬉しかった瞬間を坂東さんに尋ねてみました。
「踊りの中で手紙を書いたり、お酒を飲んだり、花を観たりする時。何でもない日常を品よく表すことができる瞬間。」
日本舞踊の踊りによって表現されるのは決して劇的な瞬間ばかりではないのです。何でもない日常が、踊りの中の所作によってより美しく、印象的に描かれるのが日本舞踊の良さともいえるのでしょう。日々の瞬間を切り取り、洗練された所作によってそこに喜びを感じることが出来るのが坂東さんならではの日本舞踊の楽しみ方なのです。

体操ではなくあくまで日舞を

「85歳まで教えさせていただきたい。」坂東さんはこのように話します。
「私の家系は、父、母ともに長生きです。年を経ても歌舞伎を観たり、いろいろ勉強して日舞を続けていきたい。」坂東さんは勉強に対しても大変熱心です。年をとっても向上心を忘れず、日々稽古をして自らの芸と向き合っていくその姿には、我々が学ぶべきところが多くあります。

「体操というより、あくまで日舞を続けていきたい。」
単なる運動としてではなく、あくまでひとつの芸として、それ自体を楽しみとして続ける坂東さん。こだわりをもって好きなことを続けているからこそ、心身ともに美しく、若々しくあり続けることができるのかもしれません。

「主人は優しく、お弟子さんたちは皆いい人で言いたいことが言えるし、私は幸せ者です。」
このように話す坂東さん。お弟子さんの一人である川本さんは先生のインタビューの際、先生の美しさに少しでも近づきたいと語ってくれました。川本さんを始め、坂東さんに憧れ、この三千つね会に所属する会員は少なくありません。

「趣味といってもそれにプラスアルファの努力をしないと舞台には上がれない。10年以上やっている人もいて、ある程度年数もかかる。皆、真剣な形でやっている。」
稽古は厳しく、それでいて多くのお弟子さんたちに慕われる坂東さん。身体はあまり丈夫ではないというが、稽古をする様子は力強く、活き活きしています。

「悩みはあまりありません。主人は優しく、膝痛で薬を塗ってくれるし、肩をもんでくれるし、たまには着物を買うと言ってくれます。」
坂東さんは稽古場だけでなく、私生活にも悩みがないそうです。このように話す口調には、人に対する優しさや温かさが滲み出ていました。

いつでも他者に優しく、年をとっても心身共に美しく、多くの人から愛され、これからも語ってくれた自身の目標に掲げた、日本舞踊を続けていっていただきたいです。

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