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2018年07月01日

定年を控える「50代」の現状は?政府統計データから見えること

定年を控える「50代」の現状は?政府統計データから見えること 2018.07.0150代の歩き方


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 若者でもなく、シニアと呼ばれるにはまだ若すぎる。働き盛りではあるけれど40代までのようには無理はできず、「定年」の影もチラついてきて動きが慎重になる。50代はある意味中途半端な年代と言えるかもしれません。上り坂にいるのか下り坂にいるのか、位置感覚さえなくなってしまう、50代はそんな年代です。この「中途半端な年代」の生き方についてあれこれ考えていく中で大事なのは、50代が置かれた現在の状況や、年代特有の傾向などを知ることでしょう。そこで、もっともメジャーかつ信頼性の高いデータである政府統計を参照しながら、5つの視点について50代の傾向を読み解いていきます。

視点1:男女比が逆転!人口分布から見た50代

 総務省統計局の人口推計(平成30年2月報)によれば、50~54歳の人口は821万人、55~59歳の人口は761万となっています(概算値)。団塊の世代が含まれる65~69歳の972万人、団塊ジュニアが含まれる45~49歳の953万人と比較すると明らかに少なく、2つの団塊の間に挟まれた、少数派の年齢階級であることが分かります。

 人口推計表を見て気づくのは、50代が年齢階級ごとで男女の人口の逆転期だということです。出生時は男性人口の方が多くその状態は40代まで続きますが、50代になるとわずかながらも女性の方が多くなります(55~59歳で男性は380万人、女性は381万人)。そして、その差は年齢が増えるごとに増大し、80~84歳に至っては、女性の方が圧倒的な多数派となるのです(男性218万人、女性315万人)。

 このデータで判断する限り、「女性の方が男性より生命力が強い」と言われることは、少なくとも間違っていないように思われます。

視点2:全年齢階級中トップ!所得と支出から見た50代

 同じく総務省統計局の家計調査年報(家計収支編、平成29年版)から、50代の経済状況を概観してみると、可処分所得・消費支出とも、全年齢階級の中でトップであることが分かります(50~59歳の可処分所得は月平均490,139円、消費支出は353,052円)。

 消費支出のうち、もっとも目を引くのは「仕送り金」の多さ。40代の3倍近くなっていて、子供が親元を離れ、大学などに進学しているケースが多いことが推察されます。また、サプリメントなど、「健康保持用摂取品」の支出は40代の2倍程度に増加し、健康に対する意識の高まりが見て取れます。50代は、身体に問題が起きてくる時期であるとも言えるでしょう。

※数値は2016年における「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のもの、年齢階級は世帯主

視点3:一気に増加!貯蓄と負債から見た50代

 家計調査年報(貯蓄・負債編、平成29年版)によると、50代は貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄高」が、大幅に増える時期であることが分かります(2016年段階で、40~49歳ではわずか18万円ですが、50~59歳では1,211万円に達します)。40代と50代を比較すると、貯蓄が1,065万円から1,802万円へと増える一方、負債は1,047万円から591万円へと減少しています。負債のほとんどは住宅・土地などいわゆる住宅ローンであり、その返済が進んだことが、純貯蓄高が増えた最大の原因と考えられます。

※数値は2016年における「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のもの、年齢階級は世帯主

視点4:生活を見直す時期!糖尿病の視点から見た50代

 健康についてはどうでしょうか。50代はさまざまな疾病、不具合が顕在化する時期ですが、糖尿病(2型)は、その中でももっとも警戒すべき疾病と言ってよいでしょう。

 少し前のデータになりますが、厚生労働省健康局の「平成24年国民健康・調査」によれば、「糖尿病が強く疑われる人」の比率は、40~49歳で5.4%(男性)、1.7%(女性)であるのに対し、50~59歳では、それぞれ12.2%、6.2%へと跳ね上がっています。糖尿病は生活習慣病であり、食習慣や運動習慣の結果として生じる病。50代は、それまでの生活のあり方が問われ、見直しが求められる年代と言えるでしょう。

視点5:仕送りする一方で起こる問題!介護の視点から見た50代

 厚生労働省の国民健康基礎調査(平成28年版)によれば、同居する主な介護者の年齢階級別の比率は、男性の場合、40歳未満1.7%、40~49歳6.9%、50~59歳21.3%となっており、50代にその比率が一気に高まっていることが分かります。女性の場合もこの比率はほとんど変わりません。ただし、介護者の比率自体は男性34%、女性66%となっており、女性の方が圧倒的に介護の役割を担うことが多いことがうかがえます。視点2で子供の仕送りの件にふれましたが、その一方、老いた両親の問題も顕在化してくる年代ということです。

 政府発表の統計資料は、地域差などはあまり反映されておらず、大ざっぱな分析にとどまらざるを得ませんが、それでも50代という年代のおおよその姿は見えてくるでしょう。

 「40代よりも少し経済的な余裕はできた。それでも仕送りはあるし、老後の蓄えは増やしたいから、稼がなければいけない。親の介護のことも心配だが、自分の健康も気になる。とにかく今はサプリメントでも飲んで頑張るのみ…」といった感じでしょうか。

 自分のことより、他人のために頑張ることの多い年代でもあります。だからこそ、倒れては元も子もありません。50代は、無理をしないことも大切な時期と言えるのです。

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