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2019年06月19日

若い共働き夫婦に学ぶ「定年後」準備

自走人生のススメ vol.20:
若い共働き夫婦に学ぶ「定年後」準備 2019.06.19定年後入門


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定年後研究所では、1月9日~2月8日の1ヶ月間、定年(後)にまつわるエピソードやその背景を添えて「定年(後)川柳」と題して募集を行った。

のんびりと 家で過ごすと ゴミよばり(東さん)

このような、定年後の“居場所”に関する句も多かった。「家庭、家族のために」という一念で生きてきた「会社人生」。一方で、「会社人生」のために家庭や家族を犠牲にしてきた負い目もある。そんな複雑な思いで、定年になって改めてわが家を恐るおそる眺めてみたら、もはやそこには自分の“居場所”は無かった。ジョークではすまされない。定年後の家庭内で“粗大ゴミ”と呼ばれないように、「家事労働の分担を買って出る」という涙ぐましい努力も必要なのだ。

ところが、「これらの句には少し違和感ありますよ。」という意見もある。「夫婦間で家事の分担って当たり前でしょう?」「生活費と家事の分担をどうするかは、夫婦生活の大前提ですよ」「なぜ定年後になってからですか?今さら感ありますね」というのは、30代を中心とした会社員の男女たちである。

言われてみれば「なるほど」である。改めて自分自身の“アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み・偏見、先入観)”に気付かされた。

内閣府の「男女共同参画白書」(平成30年版)によると、「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方(性別役割分担意識)に対しては、男女ともに「反対」の割合が「賛成」を上回っているのだそうだ。

さらに同白書によれば、1980年以降、「夫婦共に雇用者の共働き世帯」は年々増加(1,188万世帯:2017年)して、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」数(641万世帯:2017年)の2倍近くになっている。「共働き」がごく普通の夫婦のスタイルになっていることを示すデータではなかろうか。

家事や買い物、育児、介護・看護など「家事関連時間」の過去20年間の推移を見ると、男性が20分の増加しているのに対して、女性は6分減少しているのだそうだ。(総務省統計局「平成28年社会生活基本調査結果」)これも「家事分担」の表れであろうか、まだまだ“道半ば”ではあるが。

共働き 家事の分担 当たり前(ダブルインカムさん)

若い共働き夫婦にとっては、こんな川柳が「当たり前」なのだろう。このような「家事分担」世代の夫婦であれば、「定年後」になっても居場所が無くなることはなさそうだ。ここは、若い世代に学びたい。定年になって慌てて「オトコの〇〇教室」に通うのもいいが、50代の現役時代から「家事の分担」にチャレンジしてみてはどうだろう。定年後研究所では、そのことを「自走人生の準備」と定義し推奨している。

定年後川柳はこちら

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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