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仕事
2019年04月17日

シニア社員活性化最前線(下)

自走人生のススメ vol.11:シニア社員活性化最前線(下) 2019.04.17定年後入門


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セカンド・ラーニングで「定年3・0」の準備を

定年後研究所が企画・制作した「キャリア・ラーニング・システム」(Career Learning System、以下CLS)は、企業の人事部が50代社員のキャリア開発を目的として実施する研修プログラムだ。

CLSは「Eラーニング形式」による研修であるが、講師が映像で教えたりする従来の「教育・記憶型」のラーニングとは異なる。自分自身に問いかけるカタチでラーニングが進行していく「自立型能力開発」プログラムである。

CLSでは、まず「ビッグファイブ(B5)」と呼ばれる私たちの性格を構成する5つの要素を分析する。ビッグファイブは米の心理学者、ゴールドバーグ,L.R.が提唱したパーソナリティーの特性論で、「人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成されるとする」ものだ。これをもとに、50問ほどの質問に答えるカタチで“セルフ・ラーニング”がスタートする。

性格の要素は、ほぼ次の5因子で推し量ることができるとされている。
(1)精神安定性(ストレス耐性や不安・緊張の強さ)
(2)開放性(知的好奇心の強さや想像力)
(3)協調性(優しさや利他性、共感性)
(4)真面目さ(責任感の強さや自己統制力)
(5)外向性(社交性や活動性、積極性)

私たちは、この5つのうち「2番目に強い」要素に注目した。CLSの共同開発者である定年後研究所の小島貴子顧問(東洋大学准教授)は、「50歳以降は、それまで成果が出ていた能力とは違った領域での再開発が必要となってきます。その際、2番目の要素を向上させることによって、これまでの1番目の要素と相まって、仕事上有益に働く性格の要素が拡大し、職業能力の拡大が見込めるのです」と語る。

さらに「4番目、5番目などの弱い要素を鍛えるという考え方もあります。しかし、それは時間のある若い人たちのこと。50代以降の人にはあまり時間がありません。だから、成功可能性の高い“2番目”にこだわったのです」という。

CLSの次のステップは、2番目に強い要素をさらに“磨く”ための「セカンド・ラーニング」である。例えば「外向性」が2番目の人には、外向性を理解し意識することで、今まで視野になかったことや避けてきたことを「自分の強み」に変えるためのラーニングを行う。具体的には、「相手も自分も不愉快にならない断り方」や「自分から話題を振る」、「自分の意見を言う」といったことに“気づく”ためのラーニングだ。

CLSのセルフラーニングによって、新しい気づきが得られ、50代以降の「残された会社人生」および「定年後の自走人生」における「働きがい、生きがい」の拡張に役立てられる。定年後研究所が提唱している『定年3・0』を実践するうえでも心強い。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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