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健康
2019年02月13日

「もう」が頭に浮かんだら“守りモード”

自走人生のススメ vol.2:「もう」が頭に浮かんだら“守りモード” 2019.02.13定年後入門


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『50代会社員のモチベーションダウンによる経済損失は1兆5000億円』

これは、定年後研究所がニッセイ基礎研究所と共同で試算した結果である。「役職定年」「出向」「希望のセクションからの異動」、これらは多くの50代会社員が乗り越えなければならない「壁」である。これらの壁を経験したことにより「モチベーションが下がった」と感じた50代男性会社員は23.5-40.9%、「あきらめを感じた」が20.0-27.6%にも上る(定年後研究所調べ)。

これらの要因による50代会社員の生産性低下を給与換算すると、冒頭の「1兆5000億円」になるということだ。会社人生の中では、昇給昇格は段階的に時間をかけて行われるが、役職定年はジェットコースターのように一気に下る。そのギャップに順応できないまま、以降の会社人生を過ごしてしまう。まさに「50代シンドローム」というべき現象だ。

役職定年を経験すると、モチベーションダウンをはじめ、「あきらめ、さびしさ、孤独、喪失感」などネガティブな感情が50代会社員を支配していることが調査を通じて分かってきた。読者諸氏の中にも「あの時そういえば」と当時の気持ちを思い起こしている方もいるだろう。

したがって、現在「シンドローム」の真っただ中にいる人や、これから経験する人にとっては注意が必要だ。例えば、あきらめの気持ちは、新たに何かに取り組もうとする時に、次のようなことを想起させる。

● もう、今さら新しいことに挑戦しても、先も見えていることだし。
● もう、変革を求めるより、このまま現状維持で定年を迎えられたらいいのでは。
● もう、十分頑張ってきたし・・・。
● もう、会社からもそんなに期待されていないだろう。

当研究所では、何かにつけて「もう」が頭に思い浮かんでしまうことを、「守りモードに入った状態」と定義している。「守り」は、自ら進んで困難な仕事を引き受けたり、次なる挑戦のために学び直したりという行動には結びつかない。現状を変えることに否定的になり「何もしないことが一番いいのでは?」といった気持ちに陥りがちだ。

さらに厄介なのが、守りモード状態が長く続くと「錆びついた人」になってしまうことだ。一度錆びついたら元に戻すことは困難になってしまう。50代以降の会社人生で錆びついてしまったら、その後の定年後の100年人生にも良い影響は与えない。定年後研究所では、『50代のためのキャリア研修~錆びない人であるために~』をプロデュースし、企業を通じた従業員教育のお手伝いをしている。受講者からは「今からでも自己成長しながら会社人生を全うするかを考えるきっかけになった」との声が寄せられている。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


定年してからも多くの出会いと発見がある人生を送ってほしい、通勤・就寝前のほんの少しの時間、各ジャンルの設問に答えるだけで、あなたが知らない自分に気がつける。きっと・・・これからの人生を豊かにする答えがここにあります!


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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