1. HOME
  2. ライブラリ
  3. 人生のステージごとに、仕事の「テーマ」を決めて、いつも新鮮な気持ちで
未分類
2019年02月06日

人生のステージごとに、仕事の「テーマ」を決めて、いつも新鮮な気持ちで

人生のステージごとに、仕事の「テーマ」を決めて、
いつも新鮮な気持ちで2019.02.06先輩に聞きました


[top_taglist]

-自走人インタビュー:株式会社NeU 糸藤友子さん-

今回ご紹介させていただく自走人は、4回の転職をしながら、ご自身で決めた仕事のテーマにむかって真っすぐに進んでこられた糸藤友子さんです。
糸藤さんは「子育て」や「健康寿命」をテーマに据えて「職場」ではなく「仕事」をチョイスしながら自走人生を歩んでこられました。現在は新たに「脳の健康」をテーマに「株式会社NeU」でご活躍中です。

1.女性だって、やりたい仕事で頑張りたい!

Q:糸藤さん、すごく面白いキャリアをお持ちなんですが、現在のお仕事に就かれるまでのことを教えてください。

Ans 私が就職活動していた時代って、男女雇用機会均等法ができたころで、JRが、女性総合職を採用したって騒がれたような時期だったんです。女性が就職するにしても、特に金融機関なんかは、総合職の男性のお嫁さん候補というか、そんな時代だったんです。そんな状況に違和感を覚えて意欲さえあれば能力に応じて、女も男も関係なく仕事ができそうな「リクルート」に就職したんです。
*写真:20代リクルートで働いていた頃

「リクルート」では、社内広報に配属になり、社内報や社内コミュニケーションの仕事をしました。
その後、赤ちゃんグッズの通販雑誌のメディアプロデュースを担当しました。

その仕事のご縁で、子育てサイトの運営をする会社に転職しました。「リクルート」のような大きな会社ではなかったので、事業責任者・編集長、事業計画の立案、マーケティング、営業なんでもやらせていただきました。

2003年には教育の「ベネッセコーポレーション」に移って幼児向け通販事業の立ち上げにかかわるチャンスをいただきました。

「ベネッセ」には13年間いました。キャラクターの「しまじろう」で有名な「こどもちゃれんじ」という通信教育の部署で、「しまじろう」を活かしたグッズの通販を立ち上げました。「しまちゃんの靴」「お茶碗」など、ただかわいいキャラクターの絵をあしらっただけの商品ではなく、例えば、靴だったら子どもが一人で履けるとか、ハサミだったら子どもが一人で正しく持って切れるとか・・・子どもにとって使い勝手の良い、そして子どもの成長を促すような商品の開発を心掛けました。

Q:会社組織の中にいると、やりたいと思ったことってなかなかできなかったのではないですか、どうやってご自分の意見を社内に浸透させていったのでしょう?

Ans 私が選んだ、「ベネッセ」も「リクルート」も、ボトムアップの会社でしたね。意欲のある人が「こうしたい」「こうしましょう」という提案をしやすい環境でした。上司から理不尽な案件が降りてくるとか、興味のない仕事が落ちてくるとかがほとんどないんですよ。「リクルート」も「ベネッセ」もそういう会社でした。認められれば、自分たちがやりたいことがやれる会社でした。
*写真:仕事のいろはを教えてもらったリクルート時代の先輩たちと

Q:新しいお仕事もボトムアップでおすすめになっていったんですか?

Ans そうですね。会社の体制というのは経営者の考えで大きく変わってしまうことも多いのですが、「ベネッセ」はとても風通しのいい会社だったように思います。女性が多い会社だったというのもあるかもしれません。「リクルート」も、同期には女性が半分いましたし、「ベネッセ」なんて女性が6:4、私がいた部門は8:2くらいで女性なんですね。女性は仕事をすごくシンプルに考えるんです。お客さん目線が強いんです。あるアイデアがお客さんのためになると思ったら「それいいね、やろうよ!」って仕事が進みだすんです。

Q:現在のお仕事に興味を持たれたきっかけは何だったんでしょう?

Ans 5年くらい前かな、母を亡くしまして。やっぱり人って死んじゃうんだなって、当たり前ですけど思ったんです。死んじゃうんだったら自分のやりたい事やり切らないと、この人生もったいないと思ったのと、母は最後の5ヶ月くらいはほぼ寝たきりだったんです。最後は自宅で看取る事が出来たんですけど、姉に、もう少しでも長く生きていて欲しかったとこぼしたら、寝たきりで生きていたって、幸せなはずないじゃないと姉が言ったんです。その言葉にすごく納得したんです。母の死を通じて、人は生きる長さじゃなくて、健康で自分のやりたい事をやりながら生きる事が大事なんだなということが改めてわかったんです。

その頃、長男が二十歳になりまして、彼が生まれたことをきっかけにして、20年「出産」と「子育て」をテーマに仕事をしてきたんです。これからも、「出産」や「子育て」をテーマにした仕事を続けていくほうがいいのかなと考えたんです。現役の若いママたちの考え方や社会も私が現役ママだったころとはずいぶん変わって、「出産」や「子育て」にかかわる課題も大きく変りました。この先は、私がやってきた仕事は、現役の若いママの世代に引き継いだ方がいいんじゃないかと思ったんです。

母のこともあって、そのとき考えていたのが「健康寿命」だったんです。私自身が寝たきりになり、認知症になってしまったとして、それでも生きていたいかと言ったら、全くそうじゃない。それなら、60歳で人生終わってもいいかもしれないって思うわけですよ。

知人にお母さんやお父さんが認知症になってしまったり、病気で寝たきりになってしまったりした人がいて、その人が「すごくしんどくて、お金ばっかり掛って・・・施設に入れるのは親にとって嬉しことじゃないんじゃないか」って悩んでいたんです。その人たちの話を聞いているうちに、これからの私のテーマは「健康寿命」だって決めたんです。

そんな決心をしたとき、「ベネッセ」のお仕事で関りのあったスポーツ用品メーカーの「ミズノ」からお誘いを受けました。「健康寿命をテーマに、もっとサービスの拡充をしていきたいと思っているから来ないか?」と言っていただいて、48歳の時「ミズノ」に転職したんです。

2.「カラダ」と「脳」の健康づくり!新しい仕事のテーマを定めて48歳の転職!

Q:48歳の転職ってすごく勇気がいったんじゃないですか?

Ans そうなんですよ!
「ミズノ」は、競技用のスポーツ用品を多くラインナップしているんですが、「ミズノ」のノウハウを使ったシニア向けのウオーキングシューズや暖かい肌着、歩きやすい靴、健康器具、そういうものを展開していこうという話だったんです。すごく有意義な仕事だと感じて転職を決めました。ただ、「ミズノ」は、それまで私が働いていた会社とは風土が少し違いました。それまで私が働いていた会社は、ボトムアップで仕事がつくられる会社だったんですが、「ミズノ」はトップダウン型の仕事をする会社だったんです。どちらがいいとか悪いとかではなく、すごく戸惑いました。ただ、みなさん本当にいい人たちで、今の会社(NeU)から誘われなかったら、そのまま「ミズノ」にいたかもしれないです。それまでとは違う環境の中での立ち居振る舞いなんかも学べたかもしれないんですけど。

Q:仕事に情熱を持ち続ける秘訣はなんですか?

Ans 元気で明るく前向きであることですかね。同僚に対しても取引先に対しても、尊敬する気持ちを持って親切に、「ミズノ」に転職するときに声を掛けてくださったのも取引先の方でしたし、実は、「NeU」の社長の長谷川も「ベネッセ」時代の取引先なんですよ。長谷川は「日立製作所」で脳科学を応用した新規事業をすすめていました。「ベネッセ」で働いていた時、家具メーカーの「カリモク」という会社と一緒に「ベネッセ」オリジナルの学習机を開発したんです。でも、オリジナルの勉強机に合ういいライトがなかったんです。オリジナルのライトを作りたいとなった時に、長谷川からLEDを使って子どもの学習にプラスになるライトを作ろうと提案がありました。LEDって青い光とかオレンジの光とかいろいろな色調を出せるんですけど、どの色調がどんなふうに脳を活性化させるかという研究成果をもとに、長谷川たちと一緒に商品を開発したんです。それが縁で交流をもつようになって、いまの「NeU」に誘われました。
*写真:ベネッセ時代、メンバーから誕生日のお祝いしてもらう

Q:「健康寿命」を延ばすためには、脳とカラダ両方必要と考えたんですね?

Ans 運動で「健康寿命」を延伸するというのが「ミズノ」で働いていたのときのテーマで、次は脳、健康寿命を実現するには、体と脳が両方元気じゃないと・・・体が具合悪くて脳だけよくても、体が元気で脳が元気じゃなかったら・・・どっちもハッピーじゃないですよね。だから脳も体も元気であること、健康であることがすごく大事で。そういう意味では「ミズノ」では運動を通じた体の健康を、NeUでは脳の健康、私の中ではすごくいい流れをつくれたなって思っています。

Q:「リクルート」、「ベネッセ」、「ミズノ」や他のベンチャー企業でご活躍されてきた糸藤さんの今の会社での目標を教えてください。

Ans 先日リリースした脳活動可視化装置「超小型脳活動センサー(XB-01)」が、家庭に1台、ひとりに1台、体温や血圧、体重のように、手軽に、計ったり、活用したりすることで健康をサポートする装置にしていきたいと考えます。12月25日から、家庭で脳を計って鍛える「Active Brain CLUB」という新サービスをスタートします。それは「超小型脳活動センサー」と専用アプリケーションで、学生、働く人、シニアの認知機能の維持向上を目指していくものです。多くの方の認知機能の維持向上が実現できれば、一人ひとりはより豊かにイキイキと充実した人生を過ごすことができると考えています。

Q:どの職場でも、すごくイキイキと仕事をなさっていますね!

Ans 5社です!ちょっと多すぎでしょうか?でも、自分らしいキャリアを重ねていると思っています。

私の周りで、大きな会社で「役職定年」して収入もモチベーションも落ちちゃっている人がいるんです。そういう人、多いですよ。「何ができますか?」って尋ねたら、部長ならできます。支店長ならできますとか・・・。

たとえば、役職定年になったタイミングとかで、自分のやりたいことを考えてキャリアの棚卸しをして、給料半分になっても、やりたいことやってみるという選択は何のリスクもないんじゃないかと思ったりします。

Q:仕事を通じてやりたいことにチャレンジしている人というのは、男性であろうが女性であろうが少数派だと思いますが・・・

Ans まぁ・・・そうですね。それなりに、自分の枠の中でやりたい事やったりとか、頑張っていたりとか、役割を全うしていたりとかするとは思いますけど。

Q:糸藤さんのようにやりたい事があって、「子育て」だったら「子育て」をテーマに仕事にしたいとか、最初から会社を選ぶ時も、ベンチャー的なボトムアップの会社を選ぶという嗅覚は、天性のものなんですかね?
どうやれば糸藤さんのようにやりたい事にチャレンジしようという人は少なくて、そもそもやりたい事がわからないという人が残念ながら多いと思うんですけど。そういう人たちに対する応援メッセージみたいなものを。

Ans 難しいですね・・・でも、悩んでいるより一歩踏み出してみると違う世界が見えるのかなって思いますよね。

Q:一歩踏み出してみて・・・

Ans 命取られるわけじゃないしなっていつも思うんですけどね。

Q:55歳くらいになって役職定年になって、給料がドーンと下がってというのであれば・・・

Ans 給料は下がるかもしれないけど、新天地で新しい仕事に賭けることは経済的にはリスク小さいですよね。ただ、一つの会社でしっかり勤め上げた人たちってすごく力があるなって思います。私にはない大事な忍耐力とか・・・

やっぱりいろんな仕事をしている人の集団の中で調整力が磨かれたり、例えば、ずっと同じ法務の仕事をしていれば、法務の知識が磨かれたりとか。

やっぱり長い間一つの会社で勤めたって、ものすごくスキルも能力も高いと思うんですよね。

Q:組織の中での調整力とか、会社の仕事のなかで培われててきた知識とかスキルとか。一つの会社に長く勤めていることが、「自走人生」の邪魔になっているわけじゃないと。

Ans そう思います。私の知人が大企業を早期退職して、規模的には多分100人ぐらいの中堅企業に転職したのですが、話を聞いていると、いろんな人の意見、偉い人の意見なんかを調整して、まとめたり、正しいドキュメントを作ったり、社長を立てつつ物事をうまく回していく力ってやっぱりあるんだなって。

私みたいに転職を繰り返して、やりたい事をどんどんやっていくという生き方もあるけど、50歳になって、一旦キャリアの棚卸しをして新しいステージでスキルを大いに役立てるっていうのも素敵だと思います。長い月日をかけて作り上げた人脈をもとに営業をサポートするとか、やれることっていっぱいあると思うんですよ。一歩踏み出してマインドチェンジして、あとの20年、面白い仕事を自分で作り出すのっていいと思います。

Q:ビジネスパーソンが一歩踏み出すきっかけって何だと思いますか?

Ans きっかけといえるかどうか・・・まずは、キャリアの棚卸しをして、自分で自分の背中を押せる内容を探していけばいいと思います。

何も知らない学生とは違ってしっかり社会経験を積んできた大人なんだから、自分のことは自分で決めて踏み出せると思います。リスクが全くないなんてことはないわけで、何かやろうと思ったら腹を決めて進むしかないのではないでしょうか?

私も今、脳科学のような難しいテーマをゼロから始めるみたいな感じで大変ですけど・・・やっぱり最後は自分で決めてこの会社に来ました。過去の転職も常にそうでした。「ベネッセ」に転職した時も、あのまま「リクルート」にいればよかったかなって思いながらも自分で決めたんだから自分にも周りの人にも言い訳はしないようにしました。

Q:仕事をする上で意識していることは?

Ans 仕事をする上で意識しているのは、一緒に働く人たちをリスペクトするってことかな。ギブアンドテイクじゃなくて、ギブアンドギブギブくらいでもいいかなって思います。それは必ず後でいろんな形で戻ってきていました。見返りを求めてギブギブするわけじゃないんですけど。

Q:テイクを期待しないわけですね。

Ans そうですね。やっぱり与えるって、私ができること、私が役に立てることは精一杯やるっていう風にいつも思っています。

Q:小さい組織でも大きい組織でも、自分が出来ること、何かしてあげたいと思って、実際に行動しても空回りしちゃうこともあるかと思いますが、そう感じた時ってどうしてますか。

Ans 空回りしない工夫はします。私こんなことできるよ、私こんなこと知ってますよって伝えておいて。相手が、望めばいつでも手助けするようにしています。役に立てることがあれば何でも言ってくださいっていうスタンスを取るようにしています。

「出産」「子育て」の仕事を次世代にスムーズにバトンタッチできたのも、「わたしが、わたしが」という思考が薄いから、自分が当事者からやや離れつつあるということがすっと悟れた結果なんだと思います。あとは、母の死を契機に自分に残された時間を考えることができたし、その時、自分の棚卸しができたんだなと思っています。

3.自分磨きと夢は忘れない! 兼高かおるさんのように・・・

Q:死から逆算して自分の人生考えてみるというのはよくいいますよね。

Ans それは、母が亡くなってからすごくリアルに思えるようになって、最近、自分は何をやり残しているのかなって考えた時に、人一倍働いたし、子どもも2人育てたし、友達もたくさんいて・・・で、ちょっと話がそれちゃいますが、子どもの頃から兼高かおるさんにすごく憧れていてですね。大人になったいまも知らない世界にすごい憧憬を持ち続けているんです。タイの首長族に会ってみたいとか、サバンナを駆けるライオンを見てみたいとか、知らないことをこの目で見て知ることが、もっともっとしたくて・・・。ずっと仕事をしてきましたから、それは幸せなことなんですけど、世界中を見るということをしていないわけですよ。だから、後やり残したことと言ったら、旅をする、海外で暮らすことなんです。それで、世界を見たい、兼高かおるさんのように好きな時に行きたいところに行く。スフィンクス見ないで死ねないじゃないですか、万里の長城登らないで死ねないじゃないですかって思っていまして。それも、自分の死期から逆算すると、母が75歳で亡くなっているので、たとえば、自分も75歳で死んじゃうのかなと考えると、最後の10年くらいは旅や海外暮らしも含めて自分のために使いたいと思います。それには、私の場合、やっぱり仕事しないと元気が出ないのではないかと思っています。お金もなくなるしね(笑)。
*写真:長男と二男。彼らがいたからがんばって仕事ができた

Q:糸藤さんにとって仕事は人生のビタミンなんですね。

Ans そうなのかな・・・なので、理想的にはですが、1年のうち8カ月とか9カ月は働くんです。残りの3カ月はオフっていう働き方を60歳過ぎたらしたいと思っています。55歳からでもいいですけど、チャンスがあれば。給料はまあ、ぜいたくは言えませんから、少なくても我慢しつつですね。大企業ではなかなかできないと思いますが、いま私が働いているようなベンチャーだったら出来る可能性もあるかもしれない。ネットも発達しているから、エジプトのカイロでも仕事は出来るんじゃないかって自分勝手に考えています。

Q:たとえば、ピラミッドを眺めながら仕事をするためにどうすればいいと思いますか。

Ans やっぱり、自分の能力を最大限高めて、社長に自分のしたいことをアピールするしかないじゃないですか、社長が「糸藤がいないと会社が立ち行かない」と思ってくれないと・・・「給料これだけでいいからどうですか?」って、「いいよ」って言ってもらうのが一番ですよね。なので、今は、精一杯、必死でがんばろうとは思っているんですけど。

Q:メリハリつけてね。
男性へのメッセージはしっかりいただけたんですけど、自分で腹を決めろって。専業主婦を長く続けている女性、専業主婦30年、巣ごもりから引っ張り出すような何か、きっかけとなるアドバイスを。

Ans 専業主婦30年やっているってすごいと思うんですよ。たとえば、子どもの学校、PTAってすごく人間関係が複雑な組織だと思うんです。25歳で結婚して、PTAで15年、その後40歳で再就職して今バリバリ働いている人がいます。PTAで15年培った能力、コミュニケーション能力とか、仕切る力とかを活かせるシーンってたくさんあると思います。

怖がらずに謙虚に、一歩踏み出されたらいいと思うんですよね。

Q:糸藤さんは、いろんなお仕事を経験されてきましたが、これまでで一番高揚感があった時期って、どの時期でしたか。

Ans 勉強机をゼロから開発して、初年の年に数億だったビジネスを、その後の5年間で10億超えに成長させたんです。でもそれは、私一人が頑張ったってわけじゃなく、一緒に取り組んでいただいた「カリモク」のみなさんのおかげなんです。

新しい仕事の始まりとか、ビジネスが急に大きくなる時ってトラブルがつきもので、その時も配送のトラブルがあって全国にお詫び行脚をして回りました。

大変な思いはしたものの、やっぱり全国の子どもたちが喜んでくれて、今までにない価値の勉強机を提供することができて、勉強机を使ってくれる子供の親御さんも喜んでくれて、ビジネスが大きくなって、仲間との連帯感も上がって、取引先との信頼関係も強くなって、一つの目標に向かって頑張れた。あの仕事は自分の中でもベストの仕事でしたね。これからも、そういう仕事をもっと増やしていきたいです。

Q:お仕事中心の糸藤さんですが、家ではなにをしていらっしゃるんでしょう?

Ans 結構、料理が好きで。後は手仕事が好きで編み物とか、ミシンとか好きなんですよ。

Q:料理や編み物はどこで習われたのですか?

Ans 全部亡くなった母が教えてくれたことです。母もずっと働いていて。薬剤師だったんです。昔は、町の薬屋さんって今よりずっと存在感があって、夜中でもどこかのお子さんが熱を出して、お店の電話が鳴ったり、お母さんが駆け込んできたりすれば、母はパジャマに一枚羽織って、夜中でも店を開けてこまっている親御さんとか、おじいちゃんやおばあちゃんに薬を売るわけですよ。母の言葉なんですが、「働くというのは、端(はた)を楽にすることだ」というのが心に残っています。「あなたの周りのこまっている人たちを楽にするのが働くということなんだよ」っていう風によく私に言っていましたね。私が子どもを産んでも一生懸命働いていたことを、母が一番喜んでくれていました。なので、人のために、仲間のために。お客さんが喜んでくれるとか。そういうことが自分にとって一番やりがいです。

Q:現在のお仕事は、「端(はた)を楽にする」という信念で選ばれたんですか?

Ans 今は「NeU」という会社で、認知機能の維持向上を目指して、これまでにない新しい「脳トレ」を開発しています。小さな脳活動を測定する装置(「超小型脳活動センサー」)で脳の前頭前野をセンシングしながら脳トレをするんです。脳トレの目的って、脳を鍛えることじゃないですか。じゃ、どうしたら脳が鍛えられるかっていうと、脳がしっかり活性化した状態になっていることが脳を鍛えるためには大事なんです。活性化というのは、血流がしっかりあるということ。私たちが開発した「超小型脳活動センサー」をおでこに着けると、脳の前頭前野の血流を測ってくれるんです。測定結果はスマホのアプリと連動してスマホの画面が変わります。青い状態だとあなたの脳はまだ活性化していませんよというサインです。それが段々、緑になって、黄色くなって、赤くなると、脳が活性化しているサインです。脳が活性化した状態で脳トレを続けると、トレーニングの効果が上がるわけなんです。普通の「脳トレ」は、効いているか効いていないかわからないでしょ? 脳ってすごくむずかしくて、簡単すぎると脳って全然動かないんですね。テレビをずっと見ていてもブレーキがかかっちゃうんです。脳は前向きに能動的に使っていかないと働かないんです。あと、難しすぎると「もう無理!」って働くのをやめちゃうんです。すべての人に効果のある脳トレを提供することを目指して、そのために脳の前頭前野の活性度を可視化しながら「脳トレ」をやってもらおうというのが、今の新しいチャレンジです。

Q:「超小型脳センサー」ですが、どんな装置なんですか?

Ans これは、学生さん、現役でバリバリ働いている人、第一線を退かれたシニアなど様々なステータスの人々の「脳トレ」をお手伝いできる装置です。いろんなゲームで脳の活性を促す方法を探ることができます。脳が活性化することで、学生さんは集中力が高まり、学習効率が向上します。バリバリ働いている人は仕事の生産性がアップしますし、判断力や忍耐力が身につき、より高いパフォーマンスを出すことができると思います。シニアの人は認知機能の衰えを防ぎ、いつまでも好奇心旺盛で元気な楽しい毎日を暮らせると思います。
*写真:CEATECで新製品の披露

Q:「脳トレ」は難しくないですか?

Ans 筋トレもやらなくなったら筋肉衰えるじゃないですか。筋トレと一緒で継続してやることが大事で、週に4〜5日、1回5〜10分。毎日生活習慣の中で血圧を測るようにやるといいのです。計算問題とかパズルとか、シンプルで簡単なものでよいのです。

50歳を過ぎて、その後も長く働き続けたいという人のマーケットって絶対にあると思うんですね。30代、40代の人は、まだまだパフォーマンスを良くして、働き方改革と戦っていかなきゃならないじゃないですか。仕事減らないのに残業減らせってどうしたらいいか。能力上げるしかないでしょ? 脳を鍛えて注意力とか集中力とか、判断力を高めるんです。

健康でいるってことは、脳と体が元気だってことなんです。頭が衰えて体だけが元気とか、体が衰えてしまえば、仕事や生活のバリエーションとかやりたい事なんかできない。脳も体も鍛えていかなきゃダメなんです。

もう一つは、今、ストレスがすごいじゃないですか? 特に50代のおじさまたちは家庭のストレス、会社のストレス、家族との関係、これからどうなるのかみたいな・・・。東北大学と日立製作所の研究で、前頭前野の脳の血流をコントロールするトレーニングをすると、ストレスが軽減されるというものがあって。

Q:脳科学的な裏付けがあるんですか?

Ans 脳のトレーニングでストレスコーピングができるんです。元気に働き続けるために、認知症予防のために、ストレスを軽減するために、脳の状態を可視化して脳を鍛えていただく・・・そういう新しいサービスを今、開発しています。


「就職」「結婚」「出産・子育て」・・・人生のいろいろなステージの中で、目標を定めて突き進む糸藤さんのお話をうかがって、油断すると、会社組織のなかで考えることをあきらめてしまいがちな50代のビジネスパーソンが、定年をむかえる前の立ち振る舞いのヒントになりそうなお話がたくさん詰まったお話でした。50歳をむかえるころからなんとなく見えてくる「会社人生」のゴール地点も、そこからの過ごし方、気持ちの持ち方ひとつで、違うゴールや、想像もしなかった景色が見えてくることを教えてくれるようなインタビューでした。


糸藤さんが開発している、認知機能の維持向上のための脳を計りながら鍛える新サービス「Active Brain CLUB」は、平成30年12月25日からスタートしています。ぜひこちらをご覧ください。

脳トレ第一人者の川島隆太博士監修。
認知機能の維持向上のために、脳を計りながら鍛える最新の脳のトレーニング
「Active Brain CLUB」はこちら

[taglist]

糸藤友子さん
1966年生まれ、群馬県桐生市出身。
1989年早稲田大学卒業後リクルートに就職。1996年長男、2000年二男を出産。2002年ベンチャーを経てベネッセコーポレーションに転職。妊娠・出産・子育て領域をテーマとする。
その後、母親の死をキッカケに、2016年健康寿命の延伸をテーマにミズノへ転職、2017年11月NeUへ転職、現在に至る。

ページトップに戻る