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仕事
2018年07月30日

定年前後の人のための「講師デビュー」入門 vol.2

培った知見が大きな財産!

定年前後の人のための「講師デビュー」入門 vol.2 2018.07.30学ぶ・教える


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講師で成功するためには元手もオフィスも必要なし!欲しいのは・・・

これまでのビジネス経験を、講師として次世代のビジネスパーソンに伝えていく。定年後の働き方として、とても魅力的に見えますが、「どうしたらその道に進めるのかわからない」という方も多いと思います。本連載では、講師養成の専門家であり、『定年前後の人のための「講師デビュー」入門』の著者でもある鈴木誠一郎さんに、「講師への道」をナビゲートしていただきます。

連載3回目では、講師という仕事は元手もオフィスも必要ないこと、一番大切なのは、自分の話を聞いてくれる受講生への「気持ち」であることなど、講師業で成功するための、基本中の基本についてお話します。

若い人が本当に欲しているのは、臨場感のあるリアルな講演会やセミナー

今日、私たちの身の回りを見渡すと、モノがあふれています。一昔前は、モノをあれこれと欲求してきましたが、実際に手に入れたことで、物欲が一応は満足しました。しかし、いくらモノを購入しても、精神的な「安定欲求」、「成長欲求」、「つながり欲求」は満たされることはありません。

私が講師をしていてよく感じるのは、今の若い人たちの「つながり欲求」です。若いビジネスマンの方々は男女の区別無く、この欲求が強いように感じます。例えば、金曜日の午後6時30分からのセミナーに参加するビジネスマンのみなさんは、書籍も読むけれど、それよりも講師の話を直接聞きたいとか、同じ目的で集まった受講生同士で仲良くなりたいという思いがあるように感じます。

それは、若い人だけに限りません。人の寿命がどんどん延びて、定年後に自由に使える時間がますます増えています。このあり余る時間は、いったい何に費やされるのでしょうか。自分の人生の後半で、あり余るほどの自由時間があることに気付いた大人たちは、「ずっとやってみたいと思っていたことをまず勉強したい、体験したい」、「試験のために勉強していたあの分野を、今度はゆっくりと学びたい」、「前から興味や関心があったことをじっくり学びたい」と思うようになってきたのです。年齢を問わず、人はこのようにして、湧き起こる興味・関心や好奇心を満たそうとしているのでしょう。

講師になるのに元手もオフィスも必要ない

定年後に何か起業しようと考えた場合、通常であれば当然初期投資が必要になります。ところが、「講師」としてデビューする場合、あなたの身体ひとつではじめることができます。つまり、元手もオフィスも何も要らないのです。

あなたの話を聞きたいという受講者は、あなたの経験にもとづいた知見から紡ぎ出された話やアドバイスを聞きたいと思っています。彼らは、立派なオフィスやきらびやかなパンフレットを欲しているわけではありません。ですから、「講師デビュー」をするにあたって、あなたがやるべきこととは「講演のネタ」を考えることと、「名刺」を作ることくらいです。講演やセミナーのテーマは、あなたの頭の中から持ってくればいいだけなのです。

またオフィスを借りる必要もありません。自宅で十分で、携帯電話さえあればいいのです。資格も不要であることは、前にも述べた通りです。定年後に巨額な投資をすることは大きなリスクです。ところが、「講師デビュー」するのに元手は必要ありません。これは非常に大きなプラスポイントでしょう。

一番大切なのは「マインド」

講演会やセミナーを上手にやろうと考えると、最初はコンテンツやその組み立て方に意識がいくものです。しかし、受講する側の立場からすると、講師がどのような気持ちを持って話してくれるのか、どれだけ受講者に注意をむけてくれているか、どれだけ熱い心を持って話してくれるのか、といったことのほうが大切だと感じるものです。

広い世の中で、たまたま1人の講師と受講者が同じ時間、同じ場所を共有するのです。セミナーの進行スキルよりも、どのようなセミナーをしたいのかという気持ちこそが重要になってきます。そのような気持ちや姿勢は、セミナー当日の開始前から現れています。例えば、その日初めて会場に来ていただいた受講者を、どのように迎えればいいのか、という心が行動に表れます。具体的にいうと、入ってきた受講者一人ひとりに声をかけていく、ということなどです。声をかけられた受講者は、一瞬びっくりするようですが、すぐに自分は歓迎されていると感じて、笑顔を返してくれるでしょう。

ザイアンスの法則を利用する

心理学では「ザイアンスの法則」というものがあります。簡単にいうと、次のような法則です。

  1. ・人は、知らない人に対しては「攻撃的」「冷淡」な反応を示す
  2. ・人は、会えば会うほどその相手に対して「好感」を持つようになる
  3. ・人は、相手の内面的な部分を垣間見たとき、さらに「好感」を持つ

あなたが「講師デビュー」をする日は、あなた自身もかなり緊張しているはずです。そんなとき、ぜひこの「ザイアンスの法則」を思い出して、これから述べるおもてなしのアクションを取ってみてください。きっと、緊張が解けて受講される方々と気持ちが通じ合い、セミナーもうまくいくはずです。

セミナー当日にできる「おもてなし」を2つご紹介しましょう。

1:なるべく早めに会場に行って待機し、入ってくる受講者一人ひとりに声をかける

かける言葉は、「おはようございます!」「こんにちは!」でいいのです。必要なことは、一人ひとりに対して、あなたから個別に声をかけるということ。受講者は、講師であるあなたから声を直接かけられたことで気持ちがウキウキしてきて、「よし。真剣に講義をうけよう!」と思うはずです。

2:セミナー中の休憩時間や終わった直後などに、受講者の中に自ら入っていって積極的に声をかける。

例えば、「いかがですか?わかりましたか?」とか「熱心に聞いていただいていましたね。ありがとうございます。」「今日はいい天気でよかったです。」など、たあいのない内容でいいのです。大切なのは、受講者に対してあなたから先に声をかけていくというアクション。ネームプレートがあれば、ぜひ「名前」で呼びかけてあげてください。あなたに対する親近感が増すはずです。
このように、講師であるあなたから話しかけられたことが、セミナーの内容や記憶を、受講生の中に後々まで残していくことにつながるのです。

鈴木誠一郎(すずき せいいちろう)
京都府生まれ。立教大学経済学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。
同社にて28年間勤務し、営業部、マーケティング本部、経営企画部、地域戦略部、人材開発部などを経験。その後ビジネスコンサルタントとして独立。コンサルタント志望のビジネスマンをフェイスツーフェイスで支援する「オンリーワン・コンサルタント養成アカデミー」を主宰している
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