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仕事
2018年07月18日

企業参謀への道~中小企業への転身で輝く条件 vol.4

企業参謀への道~中小企業への転身で輝く条件 vol.4 2018.07.17働く


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中小企業で働くために必要な3つの力

社長の右腕を求める中堅・中小企業に、大手企業や金融機関の出身者を企業参謀として派遣するサービス“番頭さん”。終身雇用制崩壊を背景に“番頭さん”の登録者数は増える一方だが、大企業で働くことと中小企業で働くことは異なる点が多い。企業参謀に必要な資質について“番頭さん”サービスを生み出した、ビジネスインテリジェンスの山村博文社長に伺った。

さまざまな中小企業に、番頭さんを派遣するうちにわかってきたのは、中小企業で働くためには、中小企業の本質を理解し、中小企業向けの勉強をすることが必要ということ。シリーズ最終回では、番頭さんが身につけるべき重要な力をお伝えする。

素地はある大企業OB

大企業出身者は、もともと基本的な能力を持っています。大企業の素晴らしいところは、研修という名のもとで入り口でも中間でもトレーニングが受けられるところ。これは中小企業には、ほぼない機能です。しかもトレーニングで身につけた力は、どこの会社に行っても通用します。

そして、この能力を中小企業に適応すれば、中小企業は劇的に変わります。しかし、その能力をどのタイミングで出したらいいかわからない。うっかり入り口のタイミングで出してしまって、オーナーに門前払いをくらうことが多いのです。

やはり大企業出身者は、まずは中小企業というものをよく理解しなければいけません。よく言われるのが「就業規則もないんですよ!」というもの。「退職金規定もないんです」と“ない”ことに対して、すごく反応する。中小企業が就業規則も退職金規定もないのは当たり前。あったとしても、ずいぶん前のもので、今の法律と整合性がない。そういうものです。

それから大企業と中小企業は、時間軸が違います。大企業出身者は中長期を3年、5年、10年といいますが、中小企業やベンチャー企業の中長期は6カ月、1年、長くても3年までです。もっといえば、半年たてば金が尽きるというケースもある。そういうことを知っておきましょうということです。

中小企業に必要な3つの力

また中小企業向けの勉強をして、中小企業に必要な力を身につけなければなりません。その必要な力とは“実行する力”“学ぶ力”“伝える力”の3つです。

1つ目の実行する力とは、この会社の問題点はどこにあり、どういう方向に持っていけば解決するか、会議やミーティングでどうプレゼンしていくか、そういったことを考えて実際に体を動かすこと。大企業の管理職になればなるほど、実行力は薄れてきますから、それをもう一度取り戻すトレーニングが必要です。

やはり中小企業に適応できるのは動ける人。例えば居酒屋に行っても、一番入り口に近い端に座って注文係をしたり、焼酎の水割りを作ったり、そういうことがパッとできる人がいい。一番奥にどっかり座って動かない人はダメ。鷹揚にかまえている人は難しいですね。

2つ目に必要なのは“学ぶ力”です。基礎学力はあっても、さらにその上の知識がいる。金融機関出身であっても、靴屋さんに行けば靴や革のことを知らなければいけない。自分の知らないことを学ぶ姿勢が大切ということです。自分のことをすでにできあがった人間だと思う人は厳しい。これからも学んで成長することが当たり前と思える人、平たくいえば謙虚さが求められます。

最後にあげたい重要な力は“伝える力”です。大企業の管理職ともなると、自分が話すことは周りが聞いてくれて当たり前。ところが中小企業に行くと、どんなにいいことを言っても相手のスイッチがオンになっていなければ聞いてくれません。相手のスイッチがオンになっているかどうかを見つけるためには、すぐれた感受性が必要になってきます。

相手の気持ちをつかみながら「ここだな」という一点を見つけて、そこにヒットする言葉を投げられるかどうか。そのプロセスを経て初めて、感受性があるといるでしょうね。その根底に必要なのは、やはり聞く力です。まずは、うまく聞くことで信頼形成できるのです。

“実行する力”“学ぶ力” のある人は、たいていどこに行っても通用します。でも、そのタイミングを見誤ると失敗する。だからこそ“伝える力”が必要なのです。

変わっていく自分を楽しむ

いずれにしても、これからを楽しもう、変わっていく自分を楽しんでみようという心の持ちようは大事。そのキーワードは“変身能力”です。これまで日本人は終身雇用システムに守られてきたため、それが要らないように考えられてきましたが、本来人間が生きていくのに変身する力は必要です。ましてや現代は人生100年時代。80歳まで現役でいようと思ったら、今の自分のままでいられるはずはありません。変身できる資質は絶対不可欠です。

そして、そのフィールドを支えるのは中小企業です。だから、中小企業も変わる必要がある。両サイドがセットで変われば、もっと番頭さんの力が世の中で生かせるだろうと思っています。

山村博文
株式会社ビジネスインテリジェンス代表取締役。
関西学院大学卒、金融機関勤務。主に企画部門、マーケティング部門に在籍。韓国初の民間銀行である「新韓銀行」設立準備委員。02年に株式会社ビジネスインテリジェンス設立、大企業OBを中堅・中小企業に紹介、派遣する“番頭さん”サービスを専業とする。
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