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仕事
2018年07月05日

ミニマム起業のための実践知識シリーズ vol.3

定年期だからこそ知っておきたい!

ミニマム起業のための実践知識シリーズ vol.3 2018.07.05働く


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知って得する!「スモールスタート」するための3つの知恵

個人が独立・起業する際には、あまりお金をかけず、最低限(ミニマム)で立ち上げることが望ましいとされています。体力の低下が進む定年期であればなおさらです。ここでは、お金をかけず、知恵を生かして起業する、「ミニマム起業」に必要な実践知識を紹介していきます。

事業が決まったら、あとは立ち上げあるのみです。しかし、定年期の起業は「ミニマム路線」が望ましいことは、これまで何度も述べてきた通り。大切なのは、お金をかけず、着実に事業を軌道に乗せることです。ミニマム起業のための実践知識シリーズ3回目では、お金をかけない起業、すなわち「スモールスタート」のための具体的ノウハウ(知恵)をお伝えしていきたいと思います。

知恵1:スモールスタートは「合同会社」がおすすめ!その理由は?

独立・起業して事業を始めようとするとき、事業体は、大きく分けて「個人事業主」でやっていく場合と、「法人」を設立する場合とに分かれます。

「個人事業主」でやっていこうとする人は、開業する地域を管轄する税務署に開業届を出すだけです。“みんなの定年企画”など屋号を決めてもいいです。銀行に事業用の口座をつくり(生活用の口座とは分けましょう)、ゴム印や名刺、ハンコなどをそろえれば事業の開始です。毎年税務申告をしなくてはなりません。個人事業主の場合は報酬を受け取るとき基本的に源泉徴収されます。また、取引先にマイナンバーを提出する必要があります。中には「法人でなくては取引できない」という企業も存在しますのでご注意ください。

法人をつくるときには、大きく分けて「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」に別れます。どれも法人登記が必要です。費用はおおむね次の通りです。毎年都道府県民税を納めなくてはなりません。どれがいいとは言い切れませんが、設立費用が安く、小さな組織向けの「合同会社」がシニア起業家に向いていると考えられます。

以下、法人の形態と、設立費用などを示します(費用は目安です)。
1)株式会社設立費用 一番ノーマルな法人
・行政に支払う手数料約20万円
・専門家に代行を依頼する場合5~10万円が一般的
2)合同会社設立費用 株式会社と同様に使える法人
・行政に支払う手数料約6万円
・専門家に代行を依頼する場合5~10万円が一般的
3)一般社団法人設立費用 資格・セミナーなどの事業に向いている法人
(利益を上げて構わないが企業相手の取引にそぐわない場合もある)
・行政に支払う手数料約11万円
・専門家に代行を依頼する場合5~10万円が一般的

登記が終わると「法人番号」が取得でき、国の法人番号サイト(国税庁)で公開されます。また、「登記簿謄本」と「印鑑証明書」がつくれるようになります。登記簿謄本、印鑑証明書は、契約時などに必要になります。銀行に法人口座を持つことができますので、法人名のハンコをつくる必要があります。社名や住所などが入ったゴム印、名刺、封筒なども必要になるでしょう。

価格以上のメリットが!?レンタルオフィス活用で固定費を削減

法人をつくるときは「本店所在地」を記載しなくてはなりません。“自宅を本店登記し、仕事は全部自宅でする”という方法でもいいのですが、問題は自宅住所が公開されることです。プライバシー的にちょっと・・・と感じる方も多いはずです。また、それ以外にもいろいろと難点があります。「やはり毎日出掛けるところがあるといい」「自宅では家族がいて集中できない」「お客さまを呼べない」といった声をよく聞きます。

そういう場合は、別に本店登記できる場所を確保する必要がありますが、「レンタルオフィス」を活用するという方法があります。

レンタルオフィスは月額で借りる都心部の共同オフィスです。月額1万円程度から借りられるものが多く、オプションで「本店登記」を行えますし、郵便物の受け取り、電話の取り次ぎも委託できるところが多いです。また専用のロッカー、複合機の使用、会議室などもオプションで借りられ、全部合わせても月数万円で事務所機能が持てます。

取材してお目にかかった起業家の多くは、こうした都心部のレンタルオフィスと契約し、家を出て通い、また必要に応じて会議室や応接室にお客さまを呼んで事業を進めています。経理事務などをアウトソーシングしている方も少なくありません。

例えば東京・銀座に事務所を持とうとすると、礼金、敷金あるいは保証金、事務機器など含めて相当の出費を覚悟しなくてはならないでしょう。さらに毎月の家賃、光熱費、通信費、事務機器のローンに加えて、スタッフを雇用すると大きな固定費がかかってしまいます。

格好づけのために、無理をするのは禁物です。スモールスタートでレンタルオフィスを利用し、うまく事業が回り出したら、独自に事務所を立ち上げればいいことです。レンタルオフィスの中には、チェーン展開をしていて、会員になると、銀座、横浜、新宿、池袋などのオフィス・スペースが使えるというところもあります。外商などの仕事がメインの方は、そういったシステムのレンタルオフィス会社と契約すると、いろいろな場所に仕事の拠点ができて便利です。

また、自治体によっては、インキュベーションオフィスという、安価な起業家向けオフィス設備を提供してくれるところもあります。まずは自治体の創業相談窓口に相談するところから始める、というのも悪くないと思います。

お店と同じ!今や起業するのにホームページは必須です

そして最後にホームページです。今や、事業を始める人間にとって、ホームページは情報発信や問い合わせ対応のために、必須のツールです。この時代にあっては、それは「お店を出す」のと同じようなものと考えた方がいいかもしれません。

ホームページを立ち上げるノウハウに関する情報はたくさんあるので、まずは基本をきちんと学ぶことが大事です。実際にサイトを立ち上げるにあたっては、自信がなければ専門業者に頼んでもいいのですが、ここでは、無料または安価でできるサービスを紹介しておきます。

サービス例1:Googleマイビジネス
基本的に無料。検索エンジンはGoogleが寡占状態。Googleマイビジネスに、自社の事業内容や電話番号、住所などを登録しておくと、Googleマップなどで自社の情報がユーザーに知られやすくなります。また、簡易なホームページも作成できるので、登録しなければ損です。初めからスマートフォン対応になっているのでそれも必須。登録にはGoogleのアカウントを取得する必要がありますが、Gmailなどが使えて便利なので、これも登録しておくといいでしょう。

サービス例2:はじめてWEB
KDDI、日本政策金融公庫などが協力している中小企業向けホームページ作成サービス。1年目は基本的に無料です。2年目から¥17,640(税込み)の費用が請求されますが、独自ドメインを取得できるのが強み。素人でも、見栄えのいいホームページを作成できます。スマートフォン対応。

今回、紹介した3つのことを知っているだけでも、起業にかかる費用はずいぶん抑えられると思います。これから起業を考える際は、ぜひ思い出してください。

藤木俊明
コンテンツ・メイカー / シニア起業ジャーナリスト。有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役。
明治大学リバティアカデミー講師。経産省関東経済産業局登録マネジメントメンター。金沢市出身。早稲田大学卒業後、リクルート、ぴあを経て、1991年有限会社ガーデンシティ・プランニングを設立。著書に『会社を辞めずにローリスクで独立・起業する』『ゼロから始める「1枚企画書」の書き方』他多数。
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