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生活
2018年06月30日

みんなはどうしてる?お金編 vol.1

みんなはどうしてる?定年後のリアルな事情を徹底解明!(お金編)vol.1

50代の不安と60代の不安。似ているけれど実は違っている 2018.07.01お金スクール


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高齢化の進展に伴い、メディアなどで定年後の「お金の問題」がしきりに取り上げられるようになってきました。しかし、実際のところ人々はどのように感じているのでしょうか。本サイトの運営機関である一般社団法人定年後研究所では、50代(定年前)と60代(定年後)の方々を対象とするネット・リサーチを独自に実施。それぞれの世代の「リアル」を探ってみました。

老後のお金の問題を象徴する言葉に「老後破産」があります。NHKスペシャルで取り上げられたこともあって、一気に広がり、日本社会における「老後観」の方向性を決めてしまった印象があるでしょう。もちろん、もともと老後への不安感はあったのですが、「老後はリスクにあふれている。十分な蓄えを準備し、そのうえで質素に暮らさないと大変なことになる」という認識を、社会全体に強烈に植えつけた点において、この言葉の右に出るものはない気がします。

当研究所で実施したアンケートの結果を見ても、「老後のお金への不安感」は明瞭に見て取れます。特に、質問Aに対する、定年前の50代(正社員)の回答結果には、その傾向がはっきり見えました。

質問A:定年後の収入に不安を感じていますか?

家計の決算書

それなりに好待遇のはずの「正社員」層でさえ、これだけ不安を抱えているのです。非正規層まで含めれば、その割合はより高まるでしょう。年金制度が整備されている(はずの)、世界第3位の経済大国としては、かなり深刻な状況のように思われます。

ところが、60代の「退職後の人々」を見ると、少し状況は違っています。多くの人が「お金の不安」を感じている点は同じですが、年をとったこの時期の方が、むしろ若干「緩和」されているように思われるのです。質問Bのデータをご覧ください。

質問B:経済面で、今後の生活に不安を感じることはありますか?

家計の決算書

こちらは、60代の定年退職後の皆さんに対するアンケート結果です。母集団も違いますし、質問内容も異なっているので、正確に比較することは不可能ですが、おおよその比較はできます。
例えば、不安に関して「あまり感じていない」「まったく感じていない」の合計は約25%となっていて、質問Aの「いいえ」の6.8%と比較すると、かなり多くなっています。また、「強く感じている人」が約15%にとどまっているのも、「年をとって不安感が高まっているはずだ」という、第三者の勝手な想像から考えると、意外に低い印象があります。

もちろん、このデータで断言はできませんが、「60代(定年退職後)の方が、不安感が緩和される」という仮説が正しいとすれば、その理由は何なのでしょうか。

1つには、50代の不安感が過剰ということがあるでしょう。メディアなどで「年金は、現在の60代までは大丈夫だが、それ以降の人たちは危ない」といった説をよく目にします。先が長ければ長いほど、リスクが現実化する可能性は高まりますが、その「可能性」の問題と、現実に定年が差し迫っているという事実の前に、過剰な不安感を抱きやすいのが50代なのです。

あるいは、60代の場合、年をとって「残りの時間」を短く感じるようになったことが、不安感の緩和を生んでいるのかも知れません。「先が見えた」という感覚によって、老後資金について、過度に悩む必要がなくなった。それが緩和を生んだ可能性も、ないとは言えません。

しかし、不安感の緩和があったとすれば、その最大の理由は、「老後」というものの意味合いが、50代と60代では根本的に異なることにあると考えらます。

50代にとっては、不安の対象となる「未来のこと」かも知れませんが、60代にとっては、それは「日常」であり、いちいち不安を感じる性質のものではありません。不安を感じているヒマがあったら、仕事をして稼ぐか、倹約に努めることの方が、はるかに建設的なのです(実際に、質問Cへの回答結果を見ると、多くの人が倹約に努めていることがわかります)。

その当事者になり、行動を開始することで、不安が霧消していくことは多くあります。50代の方々も、過剰な不安感で悶々とするより、目先の仕事に集中したり、将来に備えた準備行動を起こしたりすることに注力すべきなのではないでしょうか。

質問C:定年前よりも現在の方が、倹約するようになりましたか?

家計の決算書

vol.1 完

vol.2はこちら

マクロミルのモニター会員に対するインターネットリサーチ
2018年03月14日(水)~2018年03月15日(木)実施
質問A:実施対象者:50代正社員 n=309(うち男性n=206、女性n=103)
質問B・C:実施対象者:60代の定年退職者 n=309(うち男性n=206、女性n=103)

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