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生活
2019年05月27日

夏木マリさんに学ぶ自走人生の魅力

夏木マリさんに学ぶ自走人生の魅力
~ありのままを受け入れる寛大さと、新たな挑戦力~2019.05.27先輩に聞きました


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歌手、声優、女優と多方面で活躍されている夏木マリさん。パワフルで年齢を感じさせない生き方が共感を呼び、『カッコいい女!』などの著書を自ら出版し「年齢は記号」「失敗を恐れない」といった数々の夏木マリ流の生き方を世に伝えるなど、エネルギッシュでかっこいい女性としてのイメージがすっかり定着している。
今回はそんな夏木さんに学ぶ、自走人生を紹介したい。

「印象派」の舞台活動から培われた挑戦力

夏木マリさん自身が主宰となり、1993年から開催しているコンセプチュアルアートの舞台…「印象派」。この「印象派」は、夏木さん自らが企画、構成、演出、出演のすべてを手がけ、一つのジャンルとして確立させた。他にもパフォーマンス集団の主催、ワークショップでの若手の育成、海外での精力的な活動を行うなど、夏木さんは挑戦的な活動を続けている。

しかし原点をたどってみれば夏木さん自身、決して初めから成功への一直線の道をたどってきたわけではない。2015年、nippon.comのインタビュー(※1)の中で、夏木さんは、なぜそんなにもエネルギッシュでいられるのかという記者の質問に対して次のように語っている。

「原点に戻れば、『私には才能がない』と思っているんですね。それで、1993年に“絶望からの脱出”ということで自作の『印象派』を立ち上げ、作品をつくり続けてきました。常に新人のつもりで、面白そうだと思ったものをピックしてやっている。だから一つのフィールドじゃない。いろいろなアプローチから自分を発見していっているので、きっとエネルギッシュに見えるんだと思います。歌い、演じ、創る、そこから夏木マリという自分自身を発見してきた感じです」。

夏木さんは、1993年に初めて日本で『印象派』を披露した際、日本人からは受け入れられない現実を知り、そこで海外に出たという。海外では、日本とは全く反応が異なり、前向きな挑戦として支持を集めた。その後、海外公演で得た多くの経験や反省を持ち帰り、日本で『印象派』を広めるべく自らのオフィスを立ち上げたのだそうだ。

また夏木さんはこの新たな挑戦について、
「(印象派は)今はチームが大きくなってきて、みんなに助けてもらってますけど、スタートの時は全部自分でやってましたから、気が狂いそうでした(笑)。でも、歌を唄っている時代にも、演劇をやっている時代にも感じなかったもの、何て言うのかな。それをやり終えた時の喜びは、ひとつの達成感があった。これだけ集中するとこれだけ気持ちがいいんだっていうことが、きっと遅まきながらわかったんだと思うんです」
と、Rolling Stoneのインタビュー(※2)の中で総括している。

何もないところから新しいジャンルを確立するのは容易なことではない。しかし、同じインタビューで、「私、体質的に不安定なのが好きで(笑)。安定しちゃうと、なんか、ちょっと、ブスになるような気がして。」と、語っているように、スリリングであることに非常に前向きな夏木さん。誰もやっていない新しい表現を確立する中で、失敗を重ねながらも、不安定であること自体を楽しんでいくというのが、“夏木マリ流”の挑戦の醍醐味なのかもしれない。

日々挑戦しながらも、ありのままの今をピュアに生きる

さまざまなメディアやネットのインタビュー記事などで取り上げられている“夏木マリ流”の型破りでエネルギッシュな生き方。しかし、夏木さんの生き方が多くの共感を呼ぶのは、ただ単に挑戦心を持ち続けているからではない。年齢について夏木さんは、cafeglobeのインタビュー(※3)の中で、以下のように話している。

「皆アンチエイジングって若くなろうと思っているけど、ならないの若くには。シワがあってもいいの。それと向き合って健康に美しく年を重ねればいい。実は40歳を過ぎるまでは年齢とうまく付き合いきれていなかった。年齢を重ねることの何が悲しいって、食事ひとつとっても、20代の頃と同じものを食べていたら不健康になるんですよね。汗まみれのノーメイクの顔を鏡でみたとき、”好きな顔をしてる!”と思いました。ノーメイク顔を”いい顔”だと思えたとき、すべてが吹っ切れた」

自分を追い込み、日々パワフルに闘い続ける夏木さんだが、有るがままの自分を受け入れ、自分自身の素顔と向き合う余裕が、また魅力の一つである。日々、確実に歳をとっていく中で、卑屈になるのではなく広い視点で自分らしい生き方を探していく姿こそが、歳を重ねた自走人生の魅力なのかもしれない

年齢は単なる記号に過ぎない

いつまでもパワフルに挑戦心を持ち続けながらも、若さを追い求めるのではなく、ありのままを受け入れ自分らしく生きる夏木さん。今や100歳時代を迎えた日本。年齢を感じさせない挑戦心と、年齢を重ねたからこその寛容さが共存する夏木さんの生き方は理想的な自走人生そのものだ。私たちが年齢と向き合いながら日々を考える上で、“夏木マリ流の自走人生は、ある種の指標を与えてくれている。


出典

※1 『夏木マリというエネルギッシュな“総合力” ——その国内外における挑戦的な軌跡』nippon.com

※2 『夏木マリが語る、時代に媚びない哲学:「やりたいと思ったことは絶対やりたい」』Rolling Stone

※3 輝く女性たちとALLIANCE(同盟)を! 夏木マリさんに聞く”アンチエイジングな生き方” cafeglobe

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