1. HOME
  2. ライブラリ
  3. シニア社員対策に悩む企業人事
仕事
2019年05月29日

シニア社員対策に悩む企業人事

自走人生のススメ vol.17:シニア社員対策に悩む企業人事 2019.05.29定年後入門


[top_taglist]

日本CHO協会(東京都千代田区、南部靖之代表)が2018年11月に行った「シニア人材の活躍に関するアンケート」では、今後増え続けるであろうシニア社員に対する“苦悩”が浮き彫りなっており大変興味深い。

「シニア社員の活用・活性化の課題認識」では、80%が「優先順位の高い人事課題と認識」しており、そのうちの約6割が「積極的に取り組んでいる」そうだ。ただ、「シニア社員の活性化策として取り組んでいること」は、ライフプランやキャリアプランの「研修」、上司や人事の「面談」という回答が目立つ。“積極的に…”とは言うものの、対策は従来型の「研修と面談」の域を出ておらず、「シニア向けの職務開発・職場開発」や「社外の仕事の情報提供」、「リカレント教育のための補助」などの“シニア社員のチャレンジを支援する施策”にまで踏み込んでいる企業はまだ少数だ。

企業の人事担当は「シニア社員の現状について」どのように感じているのだろうか。同調査では、「個人差が大きく、個々の社員により全く異なるため、何とも言えない(64%)」という回答が一番多かった。技術職・研究職などの専門性を有したシニア社員については、モチベーションを高く保って働いていれば「高く評価する」という“モノサシ”はもっているものの、その他のシニア社員については「評価できない」ということに等しい。

さらに注目すべきは、定年後の継続雇用期間にあるシニア社員について、「それまでと異なる仕事をさせるのが難しい(74社)」という課題をあげる企業がダントツに多いことだ。一方で、管理職などの役職から外れるため「権限に責任が伴わないため、それまでと同じ仕事をさせるのが難しい(47社)」との課題を感じている企業も多い。この回答からは、身動きが取れない“苦悩”を感じる。結果として、シニア社員の「モチベーション低下(60社)」や「仕事や処遇に対する不満(53社)」を課題に感じている企業もかなり見受けられる。

いかがだろうか。65歳まで雇用を継続したことによる諸課題の解決も未だ出来ていない様子が分かる。にもかかわらず、世の中は「70歳延長」へと流れているのだ。50代以上のシニア社員の“モヤモヤ”を引きずったままでの再延長にならないようにしなければならない。

冒頭に紹介した日本CHO協会では昨年末から一年間をかけて、「シニア人材活躍」に取り組んでおり、その一環として2019年3月26日に“働くシニア個人”にスポットを当てた「公開シンポジウム」を開催した。この催しには定年後研究所も協力機関として参画した。

日本CHO協会ホームページ

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

ページトップに戻る