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生活
2019年05月15日

“心地よい”と感じるときは?

自走人生のススメ vol.15:定年後に“心地よい”と感じるときは? 2019.05.15定年後入門


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定年後研究所が60代男性に対して行った調査で、『あなたが“最も心地よい”と感じるのは、どんなときですか?』という質問に対して、33.2%が「配偶者といるとき」、つづいて31.8%が「ひとりでいるとき」と回答している。なんと、最も心地よき“人生の範囲”が「配偶者または自分ひとり」というシニアが65%にも上る。少々狭くないだろうか?「アクティブシニア」という言葉のイメージともかけ離れているような感じがする。

実際、この調査では、「趣味のサークルにいるとき」(8.0%)、「ボランティアをしているとき」(2.0%)、「仕事をしているとき」(1.4%)、「町内会など地域活動をしているとき」(0.8%)など、「アクティブが心地よいと」感じている60代男性は12%程度しかいない。

筆者の知人でも定年後、家でゴロゴロしてばかりで頭が鈍化しつつあり、奥様に本気で心配されている(そして私に相談が来ている)人がいる。

「趣味のサークル」といっても、そもそも趣味がない人も結構いる。「さあ、定年を迎えたので新しく趣味でも始めようか」といっても、なかなか難しいのも現実。

「歳をとってから新しく趣味を始めるのって難しいよ。特に男性はね。稽古事に行っても素直に『教えてください』って言えなかったり、うまくできなくてプライド傷ついちゃってすぐ辞める人が多いんだって」という先輩談も良く聞く。現役のうちに自分に合った趣味のひとつも見つけられなかった人はて“手遅れ”なのだろうか?

そうとも言えない。ちょっとここで考えてみてほしい。どんなに無趣味でグータラな人でも、1日8時間、週5日取り組んできたものがないだろうか?しかも40年間近くも。「え、まさか…」。そう、仕事である。

たとえば町内会の清掃活動に思い切って参加するとしよう。まず実施日を決め、メンバーを選出し割り当てを決め、道具を準備し、集まったゴミ類の処理をする。企画、詳細詰め、実施、後処理……。まさに現役時代に取組んできた「プロジェクト」ではないか。

地域社会の活動には現役時代の経験が大いに活かせるのである。ゴミ類の処理を業者に頼むのであれば、建設業だった人はツテがあるだろうし、人の割り当てを伝える表を作るには「エクセル」がうってつけだ。集会所で説明をするのであれば「パワポ」でスライドを作ってスクリーンに映せば簡単。

こんなふうに、会社で培ったものは定年後も大いに活用できるのである。例として、地域社会を挙げたが、他にも工場で生産管理を担ってきた人がボランティアで新興国の工場に指導に行くとか、教師をしていた人が学校の補助教員になるとか、道は多くありそうだ。

あなたがが“心地よい”と感じ、そして“輝ける”場所は、案外すぐ近くにあるのかもしれない。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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