仕事は幾つあってもいい!100年時代のビジネスライフvol.9
プレイボーイグループの編集部勤務から
出版プロデューサーほかスラッシュに活躍する久本勢津子氏 Part1
仕事は幾つあってもいい!100年時代のビジネスライフvol.92019.01.30働く
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13歳の時にその後の人生に大きく影響するフランス小説、ロマン・ロランの『魅せられたる魂』に出会って心を揺さぶられたという久本さん。
読書家だったお父様に勧められたこの作品の主人公アンネットは、政治家志望の婚約者と別れ、未婚の母となって人生を自らの手で切り拓いていく。その姿が少女の琴線に触れた。第一次大戦前後を舞台にした作品だというのに、当時の古臭い偏見にも苦難にも負けず、何とたくましい女性の生き方。
「生涯現役」という言葉はティーンエージャーになったばかりの頃から頭を離れなかった。
幼い頃から読書が大好きだったことは、その後の職業選択にも大きく影響する。
当時の女子大生ブームに乗って、女性誌の読者モデル(読モ)や、ヴィダル・サスーン社の副社長ロメオ氏来日時のヘアショーモデル、当時の大学生に人気だったテレビ番組の『フィーリングカップル5vs5』にも出演するなど、華やかな経験もできた。
就職を考えなくてはならない時にマスコミに接触したことで、働く女性のフィールドとして確立されていた編集者の仕事に目が止まり、「一生働くならこの仕事!」と心に決めた。
当時、開高健氏に可愛がられ、その名著『オーパ!』の写真で有名になっていた高橋曻氏が動いてくれたことが縁に繋がり、集英社のプレイボーイグループの企画出版編集部に席を持つことになる。
ここは『月刊PLAYBOY』や『MORE』『LEE』など雑誌の連載をまとめ、“雑誌のような単行本”を作る部署であった。
当時、カリスマのような存在だった池孝晃編集長に鍛えられ、サザンオールスターズの桑田佳祐氏、長嶋茂雄氏プロデュースで小泉今日子氏が歌う同名の画集本などにも担当者として関わった。また、現場で大量の生原稿に触れるようになってから、更に文章力や読解力がついたと実感している。
著名人と直接やり取りする仕事には相変わらずドキドキしながらも、先輩達の修業的な言いつけには歯向かっていくような生意気な新人時代だった。思い返すと、頭の中で時折「独立」という文字がちらついていた。
Part2につづく
(文 槇 徳子)