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生活
2018年12月24日

シニア海外ボランティアへの参加 vol.3 -自走人インタビュー:島田明夫さん-

シニア海外ボランティアへの参加 vol.32018.12.24先輩に聞きました


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シニア海外ボランティアへの参加 vol.3 -自走人インタビュー:島田明夫さん-

新連載企画『自走人インタビュー』、ご紹介させていただく「自走人」は、埼玉県にお住いの島田明夫さんです。島田さんは、定年を間近に控えた58歳の時、会社をお辞めになって「国際協力機構(JICA)が主催する「シニア海外ボランティア」に参加され、日本語教師としてご活躍されました。

報酬はすごく安い、でも会社勤めでは得られなかったうれしいことも

Q:日本語教師として活動をされている時、どんなことにやりがいを感じましたか?

Ans 一番うれしかったのは、こっちもすごく苦労して教え方を勉強して、疲れ果てているんですが、一生懸命勉強している子を見るのが一番でした。その態度・・・真剣な態度ってわけでもないんですが、楽しそうに「私は勉強したい」っていう意志ですね、そういうのが授業の中で見えるとすごく楽しい気持ちになりました。

会社勤めの時もやりがいはありましたが・・・義務というか、ちょっと違った感覚なんです。会社勤めの時に感じていたのは・・・例えば、僕は営業もやりましたけど、お客さんに自分の人間性を認めてもらって、仕事上の成果につながったとか・・・そういうのがうれしかったです。

Q:与えられた仕事に対する成果に紐づく満足感と、自分で選んだ道筋の中で自分で気づいた喜びの違いなんですかね?

Ans そういうことなのかなぁ、うれしさの質が全然違うんです。ただ、日本語教師で食っていくのは難しいです。僕が非常勤でやっていた時は、1コマ(45分)で1,500円くらい、1週間20コマ、4週間やっても12万円しかならないんです。率のいいところで、1コマ2,000円のところもありましたが、男の場合(報酬が)安くてすぐ辞めちゃう人も多いです。やり甲斐はあるんだけど、安い!(笑)若い人が、バリバリ稼ぐタイプの仕事じゃないです。僕の場合58歳から日本語教師を始めて、日本じゃ食えないから海外へ、って感じでした。

もっと勉強しておけば・・・これから定年を迎える人たちに何かアドバイスを

Q:退職される前に、もう少し頑張って(勉強して)おけばよかったなっていうことはありますか?

Ans ITリテラシーっていうの?あれはすごく大事!

Q:具体的には?

Ans パワーポイントで綺麗に資料を作れたりとかね。表計算も使えればいろいろ便利。日本語弁論大会というのがあって審査員の点数をインプットして、その場で集計してすぐ発表するとかね。そんなのは簡単だからできたんだけど、僕が始めるまでは、そんなやり方する人誰もいなかったんですよ。随分時間かけて、手作業でやってたから、知っておけばそういうの簡単に出来るのが沢山あると思うんですよね。

あと、スマホかな、JICAではスマホを貸与されるんですよ。連絡業務とか、危険な状況を知らせてくれたり、逆に何かあったら連絡してください。みたいなね。
電話くらいはできるんだけど、初めて与えられて、いっぱいある機能を使いこなせなかったんですよ。スマホの操作も一つの能力なんです。若い人らは出来るんでしょうけど、僕らの場合、パソコンまでで。

Q:これから、何かにトライしようとしている50代に、先輩として何かアドバイスをいただけませんか?

Ans 会社が忙しい時だったんですけど、自治会で会長とか副会長とか5年間やったんですよ。活動は日曜日が多かったんですけど・・・夏祭りとか、なんでもいいんです、クリーニングデー(お掃除)にちゃんと参加するとか、とにかく、ちょっとしたことから参加しておいたほうがいいんじゃないかなと。ボランティア精神とか、大上段に構えるんではなく、地域の活動への参加。

Q:会社を辞めた後の生活が楽しくなりますか?

Ans そうですよ、みんなと気安くね。なんで地域活動、自治会に絡んだかというとね、女房が班長やってて、ある時の日曜日、用事で出られないから僕が代わりに出たんですよ。地域の活動ってわりと男手が重宝されるんですよ。神輿を倉庫から出したり、組み立てたりで。そのうちに「やってくれ、やってくれ」ってことになって。断るわけにいかないから参加してると、楽しくなってきます。

Q:ほかにアドバイスは?

Ans それとね……会社を辞めたらゼロクリア!

Q:ゼロクリア?

Ans 元●●会社のナントカ部長とかずるずる引きずっちゃだめで、友達とは友達としてお付き合いすることです。会社は会社、会社辞めたらゼロから出発する気持ちでやったほうがいい。あとは・・・なんでも自分でやる気持ちを持つことが大切、とにかく自分でやってみることです。面倒なことやってくれる部下や便利な組織なんてないんですから。


今回、お話をうかがった島田さんは、会社(大手メーカー)をお辞めになった後、日本語教師の勉強を始められました。会社をお辞めになった時、JICAの国際ボランティアで活動することを目標に定めて、その目標に一直線に進んでこられた方です。

定年後はサラリーマン時代の延長ではなく全く違った分野の仕事を選び、定めた目標に向かってがむしゃらに突き進んでこられたセカンドライフは、一本筋が通って清々しく、楽しくて、お話に引き込まれてしまいました。

人生100年時代、会社を辞めた後、40年も人生が続くと思えば、新しく目標を定めて、再スタートを切るのに定年直前でも「遅すぎることはない」、と勇気をいただけたようなインタビューでした。

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島田明夫さん
1946年生まれ。高知県高知市出身。
1971年早稲田大学卒業後複写機メーカーに就職。2004年58歳で早期退職し日本語教師の道に進む。日本語教師養成講座を終了後、中国で5年半、日本で1年半、タイで2年日本語教師としての経験を積み2015年4月にJICAシニア海外ボランティアに応募。2016年1月から2年間チリ共和国の首都サンティアゴの「チリ中央日本人会」で日系人とチリ人に日本語を教える。2018年1月に帰国。

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