1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. 大手企業で「キャリア自律」への取組みが拡がっています
News Letter メッセージ
2021年10月21日

大手企業で「キャリア自律」への取組みが拡がっています

一般社団法人定年後研究所は、㈱星和ビジネスリンクが、企業向けに定期的に発行しているメールマガジンに「NEWS LETTER」として記事の執筆を行っております。今回は、2021年9月下旬に企業人事部の皆様向けに開催した第2回「シニア活躍推進研究会」の模様について掲載致しましたので、紹介させていただきます。

去る9月22日、定年後研究所は「シニア社員活躍推進」をテーマに、大手企業26社(28名)に、オンラインでご参加いただき、「研究会(情報交換会)」を主催いたしました。当日は、キャリア自律に長年取り組まれている大手損保会社の先駆け的な取組事例や、人生100年時代を視野に入れた大手広告代理店の業務委託方式の事例紹介とご講演の後に、5つの分科会に分かれ、忌憚のない情報交換を行っていただきました。業種もバラバラな企業人事担当者から、様々な視点(報酬制度、評価、異動配置、職務開発、エンゲージメント、能力開発支援など)で、自社の課題認識や検討の方向性についてご発言をいただきましたが、底流には、「キャリア自律」への具体的な取組みの必要性、焦燥感があったと感じました。

◆大きな動き

「ぶらさがり型社員」を生み出した従来の考え方、「ポストは会社が与えるもの、キャリアは上司や人事が決めるもの」という受け身の意識を変革するべく、「キャリアを考える機会の充実」「定年後(完全退社)の生活も視野に」をキーワードに、キャリア自律への躍動感ある取組みが多くの企業で展開し始めていることを感じました。

◆キャリア研修の大幅な充実

とりわけ、キャリア研修を充実させた事例の報告は数多くありました。「頻度の拡充」「内容の充実」「方式の見直し」は各社とも共通して取り組まれていたようです。以下に幾つか例を挙げております。

  • 50歳・58歳で実施しているが、来年から30歳・40歳も検討中(頻度)
  • 30歳・45歳でキャリア自律プログラムを導入しているが、55歳も検討中(頻度)
  • セルフ・キャリアドックを導入し、WEB自習→ワークショップ→個別面談を仕組化(内容・頻度)
  • 年齢で区切らず、各自が気になった時点で自学自習できるeラーニング方式を検討中(方式)
  • 副業・兼業や越境体験の導入を、セカンドキャリア開発の視点で検討中(内容)

◆定年後の生活も視野に

これまでは、「定年後(完全退社)の生活は個人の問題」と整理されるのが主流でしたが、9月22日の情報交換会では、キャリア自律の延長で「定年後の生活」も視野に入れた施策の検討も報告されました。

  • キャリア研修の視点に、「退職・独立」も選択肢として加えた
  • 退職後の“仕事”との繋ぎをサポートするべく、中高年社員を対象に社内公募を検討中
  • 会社人間が多いので、定年後の過ごし方を考える機会を作りたい
  • 業務委託方式の検討

◆最後に、「70歳就業機会確保法(改正法)」で新たに規定された「創業支援措置」に関しても、キャリア自律文脈の延長線上で、多くの方が語られたので紹介しておきます。

  • 現在推進中の「リモートワーク」の延長線上で、業務委託方式も検討したい
  • 副業・兼業の導入検討と、業務委託での改正法対応をセットで検討中
  • 特定技術に特化した専門職は業務委託との適合性が高い
  • 専門業務のみならず、仕事の組み立て方次第では、業務委託の間口は拡げられる

 

ご高尚の通り、改正法では「一律的な」「雇用だけの」人事対応を求められているわけではありません。60歳代後半ともなれば、個人の就業意欲や生活環境もまちまちとなる中で、一律の制度対応だけで会社と従業員が共に満足を得るのは極めて困難と思われます。キャリア自律を促す中で、従業員一人ひとりがキャリアオーナーシップを発揮し、エイジレスに自ら職業能力の向上に取組むための環境整備が、いま企業に求められているのではないでしょうか。

読者の皆様のご感想やご意見をお聞かせください。定年後研究所のホームページ「お問合わせ」欄より、メッセージを頂戴できれば嬉しく思います。

一般社団法人 定年後研究所 所長 池口武志

 

ページトップに戻る