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仕事
2019年11月20日

シニア社員に“寄添う”企業をめざす!

自走人生のススメ vol.31:シニア社員に“寄添う”企業をめざす!” 2019.11.20定年後入門


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「政府の「未来投資会議」で、「70歳までの就業機会の確保に向けた法改正を目指す」旨の発表があった。その後、政府の「成長戦略実行計画」にも織り込まれ、“閣議決定”された。(首相官邸HPより)

まずは第一段階の法整備として、事業主に70歳までの就業機会確保を“努力規定”として求め、その後は第二段階「企業名公表による担保」(いわゆる義務化)を検討するという。ただ、現在は、「65歳までの義務化」を定めた高年齢者雇用安定法(2013年施行)の経過措置期間中であるため、経過措置が満了する2025年までは、改正を検討しないという「混乱防止」の配慮もされている。

さらに、「年金制度との関係」においては、年金支給開始年齢(現行65歳)の引き上げは行わないことや、支給開始年齢の自主選択制度(いわゆる繰上げ・繰下げ受給)の選択年齢拡大、在職老齢年金制度の見直しなども検討されているようだ。社会保障制度の面からも「就労を阻害するあらゆる壁を撤廃し、働く意欲を削がない仕組み」を目指すという。(成長戦略実行計画より)これらを見る限り、政府の“本気度”が感じられる。

一方、企業(事業主)側はどうだろうか。定年後研究所が実施した調査によると、「あなたが所属する会社(団体)には、中高年社員や組織を活性化するための取組みや制度はありますか」という問いかけに対して、「ある」という企業は、わずか2・7%であった。対して、明確に「ない」という回答は61%にものぼる。【図】


また、「モチベーションアップ、創造性開発、自己発見、自己啓発等に資する研修」の実施状況については、「実施している」と回答した企業は、48・1%と約半数。ところが、その研修を「50代以上の社員を対象に実施している」のは、6%にすぎない。「年齢や性別等の属性に関わらず平等に研修機会が提供されている」という企業も多いようだが、“シニア社員のために”と明確に目的を定めて実施している企業は少ないのが実態だ。「男性の新人・若手・幹部候補社員を対象に実施している(42・8%)」と比べると、その“チカラの入れ具合の差”がわかる。

「意欲・能力あるシニアには、まだまだ社会の中で活躍して欲しい」という“想い”には、政府と企業(事業主)との間では“温度差”を感じざるを得ない。ある民間の調査によると、今回の政府の方針に対して、約7割の人事部門の人たちが「まったく評価しない」「どちらかといえば評価しない」と回答したという。

50代以上シニア社員を“企業と二人三脚で支援する”ことを標榜している定年後研究所の役割への期待が、今後ますます高まることを予想している。

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指すシニアを応援。ポータルサイト『定年3・0』を通じ、コミュニケーションスタイル診断アプリ「コミスタ」を無料提供中。


得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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