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生活
2018年07月01日

定年後に取り組む「創造へのチャレンジ」

定年後に取り組む「創造へのチャレンジ」 2018.07.01創る


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~あなたは何に取り組むか?領域を考える5つのヒント~

一般の人が、「創」という言葉でイメージするのは、たぶん芸術作品の「創作」でしょう。音楽作品や映画などを通して、多くの人は「創」の世界に接しており、それはそれで日常的になじみのある領域となっています。しかし、「創」という言葉は、「物事をはじめる」とか「はじめてつくる」という言葉であり、それが適用される領域は、実は想像以上に広いのです。ここでは、芸術領域を含め、「創る」や「創造する」に関連する領域の広がりを見ていくことにします。あなた自身の「創る」の領域を考えるヒントにもなるので、ぜひご一読ください。

専門家でなくてもチャレンジできる時代「芸術の世界における創造」

美術・音楽・映像・文学などの領域があり、その領域の専門家たちが作品を生み出すことが、一般に創造(創作)と見なされています。しかし、「はじめてつくる」ことをもって創造の本質だと考えれば、専門家でなくても、既成概念にとらわれず独自の方法で自分の内面にあるものを表現する、それは「創造(創作)」といってよいものになります。

特に近年では、ITの進化が、技術の稚拙さを補完するようになっており、アマチュアでも、それなりのレベルで「創造(創作)」ができる環境が生まれつつあります。シニア世代にとっても、秘めた才能を開花させるチャンスといえるでしょう。

人生経験が役立つから格好の舞台「日常生活の中の創造」

大量消費社会の成立以降、日常生活の大半は「企業が製造したもの」でまかなわれており、「日常生活の中の創造」はすっかり影を潜めてしまいました。しかし、それ以前は、日常の中の小さな創造が、世の中を少しずつ進化させてきたものです。煮物をおいしくする調理法の発見、植物から衣服となる繊維を作り出す技術の発明。衣食住といった、日々の暮らしに密着した領域での、どこかの時代、どこかの地域での、無名の誰かの発見や発明。それらが文明を進化させてきたのです。

この領域では、「創造」に特別な参加資格は要りません。そして、人生経験が必ずや役に立ちます。その意味では、人生後半から活躍するのに格好の舞台といえるでしょう。スローライフを実践しながら、暮らしを豊かにする発明や発見にいそしんではいかがでしょうか。

起業マインドがあればチャンスが広がる「産業(ビジネス)における創造」

今や、創造の世界の中心は、ここかも知れません。特にITの進化によって、「これまで世の中になかったもの」が、日々、爆発的な勢いで生まれる状況となっています。画期的な技術の開発、これを受けた独創的な商品やサービスの創出、それによって生み出される、これまでになかった事業・・・。今日も世界のどこかで、すさまじい勢いで「創造的活動」は続いており、それは確実に世界の姿を変えつつあります(気がかりなのは、それが必ずしも人間を幸福にする方向での変化ではないということですが)。

定年を迎え、会社生活を離れた場合、こうした世界は縁遠くなるかも知れません。しかし、関心は失わない方がよいでしょう。技術の進化は、年齢をハンディにさせない社会を作り出しつつあります。起業マインドさえあれば、チャンスはいくらでも転がっているのです。

チャレンジのハードルは高い「学問・科学の世界での創造」

近年、サイエンスの世界の進化はすさまじく、驚くべき成果がどんどん生み出されています(IPS細胞・ヒッグス粒子・重力波……どれも最近のこと)。新技術や新理論を生み出すことは、もちろん「創造」ですが、発見や証明(検証)などに関しても、十分に「創造」の名に値するものが多いのです(特に重力波の検出などは、検出に関わる膨大な技術開発のうえに成り立ったものであり、その全体が十分に「創造」と呼ぶに値します)。

ただ、サイエンス領域に関しては、その道の専門家以外はなかなか難しく、50代以降にいきなり何かができる可能性は低いでしょう。サイエンスではないが、同じく「学問」でも文系領域ならば、専門家がカバーしていない領域もたくさんあるので、新しい理論を創り出すといったことは可能かも知れません。もちろん、相当な努力が必要となります。

まさにシニアがチャレンジすべき領域「社会レベルでの創造」

「領域」というのとは少し違いますが、最後に「社会レベルでの創造」について言及したいと思います。

日本は「課題先進国」と呼ばれています(というか自称しています)。あまり喜ばしい言葉ではありませんが、世界に先駆けて経済成長し豊かになったことで、いち早く成長の限界に達した国なのです。豊かになったがゆえに、猛烈な速度で超高齢者社会へと突進しつつある国。人類史上、どの国家も体験したことのない難局に直面し、自らの力で、とてつもなく大きな課題を克服することが求められている状況をさして、こうした表現がなされているのです。

人類史上に例がないのだから、求められているのは間違いなく「今この世にないもの」の創造です。そしてそれは、「新しい社会制度や社会モデル」、さらには「新しい社会思想」といった、具体的な形をもたない、概念的なものである可能性が高いのではないでしょうか。

人生後半を生きる人の大きなミッションは、次世代のために何かを残すことです。人生100年時代。時間はまだ十分にあるはず。その時間の中で、人類史を書き換えるような「社会レベルの創造」に、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

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