自走人生のススメ vol.22:川柳で見えてくる“定年後の家庭事情” 2019.07.03定年後入門

定年後研究所が行った「定年後川柳コンテスト」。前回のこのコラムでは、50代会社員が「定年」という会社人生のゴールをどのようにイメージしているかを「川柳」を通して垣間見た。そこには、環境変化に対する「淋しさや不安」、あるいは「期待や決意」などの様々な想いが錯綜していた。

環境の変化は「仕事の上のこと」だけではなさそうだ。定年後の「家庭内の環境変化」についてテーマにしている川柳が多く見られたのも興味深い。

いまよりも 尻に敷かれる 定年後(ちりめんじゃこさん)

「かなり確実な予測。“今よりも”という言葉で現状がくっきり。亭主はつらいよ。」と選句いただいた尾藤一泉先生(十六代目櫻木庵川柳)は評する。

現役時代と違って、家庭の外(会社)で過ごす時間よりも、家庭内に居る時間の方が多くなる定年後。そこでの、“配偶者との関係”がどうなるのかは、重大な問題である。 なので、このような作品を目にした。

粗大ゴミと 言われぬように 家事をシェア(キング・コングゥ~さん)

奥さんの 後を追っかけ 右往左往(よっしさん)

定年後の暮らしをスタートさせてみた。ところが、がむしゃらに働いてきた会社人生40年はやはり長かった。すっかり“妻の城”となったわが家。居候にでもなったかのような居心地の悪さ。なんだか「三度の食事を作ってもらう代わりに、家事労働の分担で返す」的な情景が浮かんでくる。ちなみに「よっしさん」の句は、定年退職後しばらくの間、何をして良いかわからない状態だった父親の様子を詠んだのだそうだ。

ところが、相手にも“言い分”があるようだ。「定年、定年とはしゃいでいるけど、誰のお蔭で無事“その日”を迎えられたと思っているの?」という奥様方の声が聞こえてくる。

ゴミ捨ては 定年ないと 妻叫ぶ(たろたろさん)

主婦業に 定年のない 不公平(ひまわりさん)

考えてみれば「主婦業」には、昇給・昇格も、もちろん「定年」もない。家庭を守り、淡々と家事をこなす。しかし、“内助の功”と言っても「引きこもり」なんかではない。「今日は幼稚園時代のママ友と…」、「今日のランチはママさんバレーの仲間と…」のように、“仲間付き合い”には不自由しない。だから、男性諸氏のように「居場所を求め、さまよう流浪の民」なんかにはならない、強い存在だ。

定年後研究所では、定年後の人生を『自走人生』と呼んでいる。「会社」という頼れる存在がなくなれば、家庭(わが家、家族)は重要な「居場所」でありオアシスとなる。定年後に備えて、自走人生をともに走る“奥様のこと”をもっと知っておくべきだろう。

定年後 備えて探る 妻の趣味(アラカン少年)

夕刊フジで毎週金曜日に連載中


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得丸英司(とくまる・えいじ)
1957年生まれ。「一般社団法人定年後研究所」所長。星和ビジネスリンク取締役常務執行役員。
大手生命保険会社で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。