仕事は幾つあってもいい!100年時代のビジネスライフvol.4
人生90年を見据え、50歳で迎えた転機。
外資系キャリアウーマンからアートディーラーに転身した坂本澄子さん54才の場合 Part3
仕事は幾つあってもいい!100年時代のビジネスライフvol.42018.11.27働く
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直面するビジネスの難しさ、これからの夢
第一回展示会を終えた後も、渋谷東急Bunkamuraなどで次々と展示会を敢行し、快進撃を続けるかのように見えたのですが、翌年の一周年記念展では思わぬ苦戦を強いられることとになりました。
土日2日間だけの開催を狙い撃ちしたかのような記録的な大雨に見舞われたのです。会場を訪れる人はほとんどいませんでした。自分が惚れ込んだアートはきっと他の人も気に入ってくれるはず・・・。そんな「想い入れ」だけで突き進んだ一年でしたが、根本から考え直さなければならないと痛感しました。
主力作品が5~6万円、ガルーのような著名作家でも50万円程度という価格帯で、一点一点個人売りするには限界があったのです。そこで、次に手がけたのがパートナリングでした。
マイホームは絵と密接にかかわり、購入する最大の動機になります。その市場に関係する企業に片っ端から売り込んでいきました。マンションの販売会社、住宅展示場、家具ショップ・・・ 。しかし、会社という金看板がなくなった今、自分という人間を信頼してもらうのは並大抵ではありませんでした。
二科展初入選作品-坂本澄子氏
精神的にも経済的にもどん底でした。そんな時、再び自分を勇気づけてくれたことは自ら絵を描くことでした。目利きを標榜するなら、画家としても客観的な評価を得なければならないと考えました。そこで、洋画界で定評のある二科展に応募することを目標に決めたのです。
つらかった時期に自分を励ましてくれた、窓から見える風景を描いた作品で、2015年初出品で入選を勝ち取りました。それが大きな励みとなったのです。その後も毎年出品を続け、3年連続で入選しました。作家として制作を依頼されることも出てきました。同時に、ビジネス上も幾つかの良い転機が訪れました。地道に継続してきたことで、リピーターとなってくれる顧客が現れ、高価な絵画の注文にも繋がりました。
また、そんな生き方が、NHK Eテレの『明日も晴れ!人生レシピ』(2017年5月19日放送)で取り上げられると、地方からも問い合わせが来るようになったのです。
作品納品の日-坂本澄子氏
岐阜にある古民家の土間を改造した吹き抜け空間に飾る大型作品の依頼を受けました。1階部分にバリ絵画を、2階部分は自ら作品を手がけることになりました。「日々の暮らしを心豊かにするアート」をコンセプトに、今後はさらに扱う作品の幅を広げたいと考えています。自らも絵を描くことで知り合った若い才能ある日本人画家をアートマーケットに送り出す手伝いもしていきたいです。
他業種の営業を長年経験したからこその目線と手法、そしてクリエイターとしての目線を併せた目利きとして、上質なインテリアアートを日本に根づかせる一翼を担っていくことがこれからのビジョンです。
完
(文 槇 徳子)