年齢に合ったメイクでアンチエイジング
宮井和美さんインタビュー2019.06.10 仲間をつくる

メイクセラピーやフェイシャルエステを行うサロン「和み」を経営する宮井和美さんに、なりたい自分を実現するメイクについてお話をうかがった。

彼女はメイクを通してなりたい自分に近づいていく、メイクセラピーの技術を活かして、光が丘高齢者センターでオーダーメイクレッスンを開講していたメイクセラピストだ。メイクを知らずに過ごしてきた人、我流でやってきてなかなかやり方を変えられない人、子育てもひと段落し、孫にかわいいおばあちゃんだと思われたくて学ぼうと思った人……様々な人に「なりたい自分」を実現するためのメイクを教えてきたという。宮井さんは、レッスンを通して受講者が新しい自分を発見し、大きく変化していったと語る。

メイクセラピー講座について

Q:どうしてシニア世代向けのメイクセラピー講座を開こうと思ったのですか?

「自分の母親の話になるんですけども。母はお化粧を知らないし、ファッションも知らないし、私はそういうことを教えてもらわずに育ったんですね。その母が、父がガンになって入院した時、メイクをしてあげたらすごい喜んだんです。共働きで24時間ずっと一緒にいた夫婦だったんですけど、はじめて長期間バラバラになったから、実家に帰ってみたら母、気分が落ち込んでいて。すごい老けてたんですね。それでメイクをしてあげたんですよ。そうしたら笑顔になって、艷やかになって、ちょっと元気を取り戻したりして。若い子は雑誌見たりメディア見たり、私たち世代でもテレビでそういう番組を見たりして意外にぱっと出来るんですけど、私の母世代だとメイクなんてしたことないって人がものすごく多いんです。そういう人に伝えていきたいなーって、女性はいつまでたっても女性で、きれいになれるし気持ちも変わるっていうのを伝えていかなきゃなあって思いました。」

Q:具体的にはどのような活動をされていたのですか?
「光が丘高齢者センターでボランティアメイクをしていました。材料費として500円いただいて、自分のメイク道具で翌日からできるようになるためのメイク講座です。『今まで介護をしてたけど、ようやくこういう機会ができたので』っていう方、『旦那さんが亡くなって気分が沈んだから変わろうと思った』っていう方、いろいろな方がいらっしゃいました。今まで本当にがむしゃらに子育てだけしてきて自分のことは何もやってこなかったっていう方が、『子供も自立して孫もできて、じゃあ今度は孫にかわいいおばあちゃんと思われたい!』って、そういう新たな目標を持ってきてくださる方もいらっしゃいましたね。そこで毎月2年間やりました。本当にリピートリピートで、『まだ出来ないから同じ内容の教えて!』とか、『できるようになりたい、できるようになりたい!』って何回も来てくれたりとかして、キャンセル待ちになったりもしました。ようやくそれが2年間で一通りみんな受けたな、という感じになって。そのあとちょっとシーズンごとにやったりとかしたのかな。通算3年弱くらいは講座を開かせていただいてたんですけど、こちらが熱気で押されるくらい、もうみなさん真剣に聞いてくださいました。」

Q:反響は大きかったんですね
「はい。スキンケアをすることで肌がきれいになることを知って、諦めていた肌がつややかになったり、化粧ノリがよくなったりして、『これはすばらしいー!』って!『あなたのそのお化粧ダメよー、受けてきなさいよ』って他の方を呼んでくださったこともありました(笑)みなさんの熱い思いが伝わってきて私もすごくいい経験をさせていただいたなと思っています。年齢を重ねても綺麗になりたいっていう気持ち、誰かと繋がっていたいという気持ちを感じました。」

Q:きれいになるだけではない変化があったのですね。
「メイクセラピーなのでみなさんを励ましたり共感したりっていう時間をもうけて、苦労してきた方に頑張りましたねってみんなで言ったり、きれいになったねってお互いに言ったりする時間をもうけるんですが、そこから横のつながりができるんですね。『このあとショッピングセンターに行ってメイク道具一緒に買っていきましょうよ』とか、『このあとご飯でも食べなきゃもったいないくらいね』って食事に行ったりして、すごくいい雰囲気でしたね。お化粧って言うと『私なんてもう』って、ハードルが高くなりがちですけど、お化粧を知らない人に知ってもらいたいという気持ちから、高齢者センターで活動していました。メイク講座はもう終わったんですが、今でも連絡すると『今でもみなさんがんばってますよ』って!新しい自分に会えた、新しい目標を見つけられたっていう人もいらっしゃって本当にいい経験になりました。」

メイクがもたらす変化とは

Q:メイク講座に来る方の動機は、どんなものが多かったですか?

「時間が出来たから、我流でやってきてあんまりメイクを知らなかったからって方が多かったですね。お化粧すらしてこなかったからって方もやっぱりいらっしゃって、とにかくもう自分に手間を掛けなかったって方が多かったですね。あとは、すっぴん主義だった方。若い間はお母さん同士とかだったら、すっぴんで大丈夫だったけど、歳を重ねてくると気になるところもでてきて、『落ち着いたし、きれいにしていたい』とおっしゃいますね。」

Q:シニア世代向けのメイク講座を開く中で、多く聞いた悩みはなんでしたか?
「『やり方がわからないので何がわからないのかわからない』っていうのがダントツに多かったですね。スキンケアはもう適当っていう人が多いですし、いざ実習に入ると眉毛の書き方からわからないという方が多い。逆に『私はこういうメイクをいつもするのよ』って過去に流行ったメイクを変えられない方もいらっしゃいました。何十年もやっていたりするとやり方を変えるのが難しいんです。そういう方にアドバイスをする時は誰に対して、どういうふうに見られたいためにやるメイクなのかっていうのをお聞きして自分と見えている印象のギャップに気づいてもらうようにしています。なりたい印象を元に挑戦していくと、すごく気づきがある。やったことがないから知らない、知らないままやっているからマイナスの印象を与えているということがあります。それをこうなりたいっていうゴールの方に、メイクで導くようお手伝いしてあげられたらなと思っていました。」

Q:メイクを通じてどんな変化があるんでしょうか?
「メイクが終わった後、何回も鏡を見る方がいらっしゃいます。『私変わった』って思ってくれるんです。それが『このメイクできるようになりたい!』っていう次のモチベーションにつながっていくんですね。メイクセラピーの原理は、まずなりたい自分を描いてみて、それからとりあえず「なってみる」、そして「なった自分」を見て行動につなげていくっていう風になっています。メイクって変化がわかりやすいんだと思うんですね。普段全然メイクしてない人がちょっとチーク入れるようになったりすると『今日ちょっと違うね』とか『お肌綺麗ねー』って褒められたりする。『薬飲んでるから、肌荒れが気になるけど薬塗れないのよね』って言っていた方が、化粧水を重ね付けすること肌がつやつやになってストレスが解消される。変化がわかりやすいし気づいてもらいやすい、だからモチベーションにもつながっていく。メイクを通じて自信が持てるようになって、変わっていった人はたくさんいましたね。」

「私なんて」を超えていくために

Q:街頭スナップを撮っていると、「私なんて」とおっしゃる方がとても多いことに気づくのですが、そういった方にメッセージはありますか?

「本当に『私なんて』って言う方すごく多いんですよ、日本人!本当に、私講座をやっている時いつも言うんですけど、自分に自信のないところ、嫌なところあげてっていうとすっごい出てくるんです。湯水のごとく(笑) でも、自分のチャームポイントをあげてくださいっていうと本当に出てこない。だけど、メイクって何が大事かって言うと、そのチャームポイントを際立たせるっていうことなんですね。私これが綺麗とか、ここが素敵っていうところを見つけてそこにフォーカスさせるんです。だから、『私なんて』っていう方にはまず、『本当に素敵なんですよ』ってことを気づいてほしいですね。そういう時私は、講座で他の人にその人のいいところを紙に書いてもらいます。そして発表してもらうんです。『肌がすごく綺麗です』とか『ファッションが素敵です』とか色々。その人の気づいていないチャームポイントをみんなで教えてあげる。そうすると、『そうなんだ私!』って自信が湧いてくるんです。もう本当に、みんなに『ここがすてき!』って教えっこしてほしいくらい(笑)『自分でちょっと太ってる・・・』って思っていても、『柔らかい感じがして素敵です』とか『セクシーです』とか、そういう風に見えていることってありますから。本当は自分で自分探しができると一番いいんですけどね。だからまずチャームポイントを知りましょう、そしてチャームポイントを伝えてあげましょう!普段一緒にいたら言わないかもしれませんが、『あなた本当にここ素敵よねー』ってお互いに言い合うんです。そうするとお互いに綺麗になっていく素敵な関係になるはずです。」

自分の魅力を知り、また互いに伝えていくこと。自信を持ってなりたい自分に近づいていくこと。どんな人でも、美しく、前向きに生きていくことができるということを宮井さんは熱く語ってくれた。自分がなりたい姿をイメージし、実際に一歩を踏み出してみたら大きな変化が訪れるかもしれない。メイクをきっかけに、新しい自分を探してみてはいかがだろうか。